監査論のお勉強では実感できない、監査実務を説明するシリーズということで、
一年間の監査業務実務の流れを具体的に説明しております。
前回は、6月の監査スタートから、秋~冬にかけての監査計画についてご説明しました。
今回は同じく秋冬から年明けにかけての流れの説明です。
前回の記事を読んでおられないかたは、先に↓をお読みになることをお勧めします。
9月~12月 - 内部統制の検証 時々 四半期レビュー
昨日もご説明した通り、9月からは監査計画が始まりますが、
それと同時に結構いろんなことが同時並行で進んでいきます。
そのいろんな事のうち、大きい2つが内部統制の検証と四半期レビューです。
内部統制の検証
内部統制は監査業務の中でも超重要パートです。
なぜ重要かと言うと、
- 内部統制監査という制度上、内部統制が機能していることそのものを確かめないといけない
- 内部統制が機能しているかどうかで年度監査の戦略が変わってくる
からです。
細かい説明については割愛します。1年間の流れとは関係なくなりますので。
というわけで、改めまして、9月からは内部統制の検証です。
検証すべき内部統制は大きく分けて4つです。
全社的内部統制 | 会社全体としての風土や管理体制に問題がないかどうか |
決算財務報告プロセス | 財務諸表を作成する手続きに問題がないかどうか |
IT全般統制 | ITシステムがちゃんと機能しているか |
業務プロセス | 販売とか仕入とかの業務が、間違いが起こらないようになっているか |
これらについて、順次、クライアントに往査して確かめていきます。
それぞれの内部統制を担当している人にヒアリングして、資料を見せてもらって、という形です。
ちなみに、内部統制の検証をするこの時期は、出張も比較的多くなります。
なぜなら、上場会社の場合、各地に子会社や営業所を持っていることが多く、
それら子会社や営業所が内部統制の重要な部分を担当しているケースも多いからです。
人によって感じ方は違うと思いますが、私は出張が結構好きでした。
色んな都道府県あるいは外国に出張できるのは監査をしていて楽しいことの一つです。
私の場合も日本全国色んなところに行きましたし、外国も数ヶ国行きました。
第2四半期レビュー
9月から12月は監査計画をやりながら内部統制往査しながら、10月は四半期レビューです。
大抵の場合、第1四半期レビューと実施する内容はほとんど一緒です。
特にトピック事項を第1四半期で検証し終わっている場合には、重複して検証する必要なしです。
基準の変更などで開示方法の変更があったりしても、第1四半期で検討済のはずです。
というわけで、第2四半期レビューはまさに、”粛々と”手続きを終えます。
第1四半期と違うのは、第2四半期はキャッシュ・フロー計算書の開示義務があることぐらい?
期間は10月の半ばから11月の初旬です。
ちょっと休憩 - 公認会計士の知識のブラッシュアップについて
監査業務とは直接関係はないのですが、7月から9月頃にかけては研修のシーズンです。
というのも、会計基準は毎年変わっていくからです。
また会計基準が変わらなくても、社会の情勢などから監査の方針も変えていく必要があります。
例えば東芝の不正の件が明らかになった時には、その原因を調べて、
そういうことが起こらないように監査手続を実施しないといけないね、みたいな感じです。
なので、基本的に監査手続の方針は多かれ少なかれ、毎年変わります。
それに対応するために、監査がスタートして割と早い7~9月ぐらいの段階で研修をするのです。
日々勉強な。
ほんそれな。ボケてる暇あらへんよ。
12月後半から1月初旬 - 冬休み
担当しているクライアントにもよりますが、この時期は少しだけ中休みです。
“監査が順調に進んでいれば”ですね。
冬休み自体は、普通の会社と同じくらいありますが、年末年始はみんな結構有給を使います。
なので、長く休む人で12月24日ぐらいから1月8日ぐらいまで休めちゃいます。
本年度3回目の長期休暇やな。
休みを取りやすいっていうのはやっぱりえーよ。
1月中旬~2月初旬 - 第3四半期レビューと確認手続の始まり
休みが明けたらもうまた四半期レビューです。
監査計画だ内部統制だと言っていると、3ヶ月があっという間に過ぎます。
実施する内容は第2四半期とほぼ同じです。
ただしキャッシュ・フロー計算書はありません。
そして第3四半期レビューの進行とともに、いよいよ、いわゆる”実証手続”も動き出します。
実証手続のメインどころ。実査・立会・確認ですね。
一番早く始まるのは確認が多いと思います。
確認手続の実務については以下の記事を是非ご覧ください。
(次回に続く)
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