【第16話】外国通貨は時価で評価せよ。嫌やけど。

猫と学ぶ経営管理
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こんにちは原田です。

猫と学ぶ経営管理の第16話をお届けします。

今回は外国通貨の時価評価のお話です。

輸入業などの場合、ドルやユーロといった外貨を

事業用に買い入れておくことがありますが、

外貨を保有したまま決算を迎えた場合には、

その時点の為替レートで置き換える必要があります。

 

原田会計の招きネコ、マネ

原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)


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外貨からどえらい損失が!

マネ:所長、えらいこっちゃ。

いや、おれにとっては別にえらくないねんけど。

品川商事なんやけどな、営業利益はそれなりに出てるのに、

最終損益めっちゃ赤字や。

ほんで、なんでなんかなーって営業外と特別損益の内訳見てみたら、

為替差損ってのがドカーンって出てるやないか。

これってどういうことなん?

ひで:品川さんとこは輸入商社やからな。

しかも決済通貨に結構マイナーな通貨使ってる仕入先が多いから、

外貨の買い入れタイミングと為替変動のタイミング次第で、

今回みたいに結構でかい為替差損益が出ることがあんねん。

マネ:為替差損益って要するに、為替相場の変動から出てきた損益ってことやろ?

ひで:そう、例えば1ドル120円の時に100ドル買い入れて、

それが決算の時に1ドル100円になってたら、為替差損は2,000円や。

(120円-100円)×100ドル=2,000円

マネ:計算の仕方はわかるんやけど、なんか腑におちひんねんなー。

ひで:なにが?

マネ:持ってるドルの価値が下がったからその分を損出ししましょうっていうところ。

品川商事の場合、このドルは輸入取引の決済用に買ったドルやろ?

決算はまたいでるけど、そのうち絶対使うことになるドルやんか?

せやのになんで、決算をまたいだからって損を出さんとあかんのかなぁって。

ひで:あー、なるほどな。

それはな、外貨に色はついてへんからやで。

マネ:(੭ ᐕ)) ん?

 

時価評価という考え方

ひで:そもそもの話がやで、今の会計の世界には、

基本的な考え方の一つに”時価評価”っていうのがあんねん。

価値の変動があるものについては、

“要所要所でちゃんとその時点の評価額に置き換えるべし”っていう考え方な。

マネ:それはわかってる。有価証券とかやろ?

ひで:イエス。他にも棚卸資産もそうやし、不動産もそう。

価値の変動があった場合には、それをちゃんと測定して、

損に出しなさいよっていう会計のルール。

マネ:でもな?例えば有価証券やったら、

売買目的有価証券は時価評価せなあかんけど、

満期保有目的債券は時価評価せんでもええやん?

これって同じ有価証券でも、

保有の目的によって時価評価するしないが変わるわけやろ。

ほんなら、輸入業にとっての外貨は

“そのうち輸入の決済に使う”っていう目的やから、

時価評価しなくてもいいっていうことにはならへんの?

ひで:おっと、これはなかなか鋭い質問。

監査法人で、1年目の後輩が1年2年と実務に慣れていくうちに、

出てくる質問がキレッキレになっていく様を見ているようであるな。

マネ:せやろ。もっとほめて。っていうか給料上げて。

外貨と満期保有目的債券の違いは?

ひで:ほんでな、確かに有価証券は保有目的で時価評価しないっていう

会計処理もあるんやけど、これは外貨には通用せんのだよ。

マネ:なんでじゃ。

ひで:それはな、最終的に日本円で何円返ってくるのかっていう観点で考えるからやで。

満期保有目的債券は、満期保有目的って言うぐらいやから満期があるわけや。

5年満期とか10年満期とか。

そしたら、この債券に流通市場が存在してて、

つまり価格の変動があって、仮にその価格が大暴落してたとしても、

必ず、その債券が発行された時の約束通りの価格で償還される。

例えば10年満期の社債100万円の時価が30万円になったところで、

10年後には必ず100万円返ってくるってわかってるから、

わざわざ時価評価して70万円の損を出す必要はないねんで。

一方で、外貨の場合は、いくら自分が、

「これは輸入決済用のドルです!為替の変動があっても、

ドルはドルのままで使うので時価評価の必要はありません!」

って言うたところで、裏付けがないやん?

もしかしたら輸入やめてしまうかもしれへんし、

日本円が足りなくなって、ドルをうってしまうかもしれへんやん。

そうなったら宣言もむなしく、

その時の価格、つまり時価で買い戻さんとあかんわけやから、

決算日時点でいちいち時価評価せなあかんねんで。

マネ:じゃあ有価証券で、時価評価したくない時は、

売買目的から満期保有目的に保有目的の変更したらいいってこと?

ひで:有価証券とかの金融商品の会計処理を定めた、

金融商品会計基準っていうので、

売買目的から満期保有目的への目的替えは禁止されてる。

残念でした。

マネ:ぐぬぬ。

ひで:そういうくだらんことを考えるやつが必ず出てくるからな。

というわけで、損した気になるかもしれんけど、

決算日にはかならず外貨は時価評価して、

買った時からの価格の変動分は為替差損益にせなあかんねんで。

マネ:あ、でもその次の年に、

また為替が戻ったらこんどは為替差になるんやんな?

ひで:せやで。そこは心配せんでよし。

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