こんにちは、原田です。
猫と学ぶ簿記超入門 第5話をお届けします。
前回までで基本的な仕訳のルールはご説明しましたので、
もうどんどん仕訳を切っていってもらえるのですが、
そうはいってもどんな勘定科目があって、
どんな使い方をするのかというのを知っておくのは悪いことではないので、
少し長くなりますが、さーっと読み流してください。
登場猫物と登場人物
原田会計の招きネコ、マネ
原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)
前回のお話
勘定科目を知っておかないと仕訳は切れませんよ
ひで:仕訳の基本的なルールが分かったところで、
じゃあ早速事務所の帳簿やってもらおか、と、言いたいところやけど、
勘定科目のことをなんとなくでええからわかっといてもらわんとな。
マネ:勘定科目って、さっきから出てきてる現金とか、売掛金とかのことか?
ひで:そうそう
マネ:そんなん読んだらわかるんちゃうん?
ひで:だいたいの勘定科目はそうなんやけども、
そうはいっても、ざっくりとどんな勘定科目があるか
知っといた方がええかと思うてな。
マネ:ふーん、そういうもんか。
ひで:まぁ、いっぺんには覚えられへんやろから、とりあえず目だけ通しといて、
後々実務で出てきた時に、あー、こんな科目もあったなー程度でええと思うで。
マネ:はーい。
貸借対照表の流動固定分類
ひで:あ、やけどその前に1つ説明しとかなあかんことあったわ。
貸借対照表が資産と負債と純資産の一覧やっていうことは覚えてるな?
マネ:うんうん。
ひで:ほんでな、資産と負債はもうちょっと細かく分かれてんねん。
資産は流動資産と固定資産、負債は流動負債と固定負債や。
ほんで固定資産はさらに細かく分かれてて、
有形固定資産と無形固定資産と投資その他の資産や。
マネ:流動と固定?柔らかいのと固いの?
ひで:うーん、ちょっと違う。
簿記ではな、いろんなことを、”1年単位”で考えんねん。
せやから、資産と負債も1年を区切りにして分けてんのよ。
マネ:もうちょい具体的に言うてよ。
ひで:つまりな、1年以内に入金されたり、売れたり、払ったり、
そういう回転の速い資産とか負債は流動。
逆に、1年以上かけて使ったり清算されたりっていうのは固定。
ま、短いスパンと長いスパンって理解しといたら問題ないで。
マネ:有形固定資産と無形固定資産と投資その他の資産は?
ひで:こっちは勘定科目の説明の時にな。
流動資産
ひで:ほなまず流動資産な。
ざーっと説明していくし、わからんとこあったら手挙げんにゃで。
現金・預金
ひで:そのまんま、現金と預金な。
両方合わせて現預金って言うたり、単にキャッシュって言うたり。
細かく分けると普通預金、当座預金、定期預金てあるけど説明いらんやろ?
マネ:うん、大丈夫やと思う。
当座預金てあれやろ?決済用の口座やろ?
ひで:そう。利息がつかへん奴な。
その代わり、銀行が破綻しても全額戻ってくる。
売上債権
ひで:売上債権っていうのは、売上取引から発生する、”お金をもらえる権利”な。
受取手形と売掛金がある。
マネ:ハイハイハーイ。
あんな、今日の話の内容とは直接関係ないかもしれへんねんけど、
手形ってなんで使うん?
売掛金も例えば来月末に払いますっていう約束やし、
手形も90日後とかに払いますっていう約束やろ?
ほんなら、おんなじ90日やったら、売掛金にしといて、
90日後に払いますでええんとちゃうん?
Hide Ikegami:良い質問ですね。
あんな、手形っていうのは、約束手形っていう紙やねん。
やからまぁ、言うたら、口約束と書面の約束の違いみたいなもんやな。
書面の約束の方が何かきっちりしてそうやろ?
手形には90日後に払いますって書面に書いてあるから、
それを銀行にもっていったら、銀行はそれを信用してお金と交換してくれんねん。
マネ:へー。
ひで:ただし、割引料っていうのを何%か引かれるけどな。
あと、一般的には売掛金より、受取手形の方が、
お金をもらえるまでの期間が長い。あくまで一般的にな。
やけどな、最近は売掛金のファクタリングって言うて、手形なんか発行せんでも、
手形と同じように先にお金をもらえる仕組みも出てきてんねん。
やから、将来的には手形なんかなくなるかもしれへんな。
それともう一つ、電子記録債権って言うて、
手形を発行せえへん手形みたいなんもある。
マネ:なんか、ますます手形いらん気がしてきた。
ひで:そうは言っても、特に中小企業ではまだまだ手形はよう使われとるよ。
棚卸資産
ひで:次は在庫な。在庫は製造の段階に合わせて、
原材料→仕掛品→半製品→製品、
っていう風に姿形名前が変わんねん。
マネ:原材料と製品はわかる。
でも、仕掛品も半製品も作りかけなんやろ?どうちゃうん?
ひで:まぁ、見た目は全然変わらへんかったりする。
違うのは、”売りもんになるかどうか”。
つまり、中途半端やけど、売ることができる、買ってくれる人がいるんなら半製品。
ただの作りかけやったら仕掛品。
マネ:売れるって言うんやったら、製品とちゃうんかいな?
ひで:そうやなぁ。そこらへんは会社によってマチマチやけど、
その会社にとって完成品かそうでないかっていう違いやな。
例えば、トヨタ自動車やったら、完成した自動車を売るのが本業やから、
完成品した自動車が製品やけど、完成する前のブレーキだけとか、
トランスミッションだけとかを売ろうと思ったら売れるやろ?
そういう違いやと思っといたらええと思うで。
マネ:会社によって判断したらええってことやな。
未収入金
ひで:どんどんいくで。
未収入金。これは”お金をもらえる権利”
マネ:ちょっとまったコーーーーール!
ひで:だいぶ古いな。やけど言わんとしてることはわかるで。
売掛金とどうちゃうねんっていうことやろ?
マネ:ソノトオリ!
ひで:とんねるずからの、児玉清な。
あんな、売掛金は、さっき説明したけど、”売上から”発生した債権な。
やけど、未収入金は”売上以外から”発生した債権やねん。
マネ:例えば?
ひで:例えば、土地を売った代金とか、未入金の仕入リベートとかな。
あ、リベートっていうのは、
たくさん買うてやったから、ちょっとお金返してっていうやつな。
マネ:へー、ほんで、なんで分けてんの?
ひで:簿記ではな、本業、つまり仕入とか売上と、
本業以外っていう区別をしたがるねん。
そうでないと、本業でどんだけ儲かってるかとか、
本業の資産がどんくらいあんの?っていうことがわかりづらくなるからな。
マネ:本業と本業以外ね。
前払シリーズ
ひで:次は前払いシリーズな。
ちょっとややこしいから、まぁそんなもんか程度の理解でええわ。
前払費用と前渡金と前払金がある
前渡金は、“仕入代金”の前払いな。
前払金は、”仕入代金以外”の前払い。土地の売買の手付金みたいな感じ。
前払費用は、前払いっていうより先払いな。
例えばそやな、ジムの年会費一括払いみたいな。
先にどかっと払っといて、ちょっとずつ使っていくみたいな感じな。
マネ:確かにややこしいな。
やけどまぁ、こうやっていっぺんに説明してもらったらわかりやすいし大丈夫。
短期貸付金
ひで:これは簡単、貸付金。
その中でも、1年以内の貸付金。
ほら出てきた、1年以内に返してもらえる予定の貸付金な。
マネ:ちゅうことは、1年以内に返してもらえへん貸付金もあるってことやな?
ひで:そう。そっちは”長期”貸付金。
マネ:簡単簡単
仮払金
ひで:さあ流動資産もうちょっとやで。次は仮払金。
これはな、その名の通り”仮“の勘定科目や。
なんかお金が出ていったことはわかってんにゃけど、
内容がわからん、もしくはまだ内容を詰め切れてないもの。
マネ:え、そんなん残しといてええの?
ひで:ええところに気づいたな。
そう、仮払金は、あくまで仮払やから、ほんまは内容をちゃんと確認して、
ちゃんとした勘定科目にもっていかなあかんねん。
経理がしっかりしてる会社はこの仮払金が少ない。
なぜなら、何にいくら払ったかっていうのを、
タイムリーにちゃんと把握してるからや。
マネ:ここに、おれのちゃうちゅーるがかかっているということか。
貸倒引当金
ひで:さぁ、最後やで。貸倒引当金。
これは、売上債権のうち、回収できひん部分な。
マネ:え?どういうこと?売上債権はお金もらえる権利ちゃうん?
ひで:いや、もちろん権利としてはあるんやけど、
そうはいっても、お金もらえへんことあるやん?
例えば、売上先(得意先)が倒産したりとか、倒産までいってなくても、
金回りがめっちゃ悪かったりとか。
マネ:あー、そうかー。
ひで:やから、売上債権のうち、
「あーこら、回収無理やわ。」っていうのがわかった段階で、
売上債権から差っ引くねん。
例えば、売掛金が全部で1,000万円あって、
今までの経験的に30万円はたぶん回収できひんよなぁ、
っていうのがわかってたとしたら、
売掛金1,000万円
貸倒引当金▲30万円
っていう書き方すんねん。まぁ、この引当金の取り扱いはまた今度説明するな。
あー、流動資産だけでだいぶ紙面使てしもた。
固定資産からはまた明日な。
マネ:お疲れー。
(次回へ続く)
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