会社はどういう状況に陥ったら倒産するのでしょう?実は赤字というだけでは必ずしも会社は倒産するとは限りません。意外と知られていない倒産の誤解についてご説明します。
大赤字だー!
事業を営むにあたって、いつもいつも黒字ばかりとは限りません。どんな優良企業でも、状況によっては赤字決算となる可能性があります。
そんなできることなら避けたい赤字決算ですが、赤字となる原因には以下のような事柄が挙げられます。
主として外的な要因
- 金融不安
→リーマンショック等の、市況全体の落ち込みによる業績悪化 - バブル崩壊
→特定分野の急速な落ち込み - 他社革新的技術の出現
→技術革新等による、従来製品の陳腐化等 - 主要得意先の喪失
→得意先の倒産による売上減や、売掛金の不良債権化 - などなど
主として内的な要因
- 社内のキーマンの退社
→トップ営業マンの退社、経営者の代替わりによるカリスマ性の喪失等 - リストラによる、臨時的な費用負担
→業績悪化に伴う将来の損失の前倒し - 品質問題の発生
→リコールや品質偽装等による、顧客離れ - 不良在庫の評価減、土地や建物の現存
→過去の投資のネガティブな清算 - 粉飾等の会計不正
→売り上げの水増しや、多額の資産横領等 - などなど
上記いずれをとっても、会社にとっては、大ピンチ!ですが、さて、何かしらの原因で赤字となってしまったとしてその会社は倒産してしまうでしょうか?
いいえ、赤字=倒産とは限りません。
債務超過だー!
では、次に赤字が積もり積もって債務超過になってしまった場合はどうでしょうか?
債務超過とは赤字が累積して利益剰余金がマイナスになってしまい、資本金や資本剰余金すら食いつぶしてしまった状態を指します。わかりやすく言うと、会社の”元手”が無くなって、会社の資産総額よりも負債総額の方が大きくなってしまった状態です。
さあ、この状態になったらさすがに会社は倒産するでしょうか?
いいえ、債務超過=倒産とは限りません。
あれ?会社って倒産しないの?
なわけないですよね。
会社が倒産する時
じゃあ、会社はどうなったら倒産するのでしょうか。
答えは、お金が無くなった時、です。
そう、会社は赤字でも倒産しないし、債務超過でも(債務超過という理由だけでは)倒産しないんです。
会社が倒産するのはお金が無くなった時。つまり支払手形の期日に銀行にお金がなかった時(不渡り)や、銀行から借入金を返せと言われても、返せるだけのお金がない時です。
“赤字”の意味
“赤字”は一年間でこれだけ”損失”が出ましたということを指します。そして、債務超過は、”累積で”これだけ損失が出ています、ということを指します。
ですが一口に損失といっても、2種類の損失があります。
1つ目は実際にお金が出ていってしまっている損失です。
例えば本業が思わしくなく、売上が落ちているのに経費は同じペースで払わなければならないケースです。このケースは損失=資金の減少です。
このケースでは払わなければ行けないお金が無くなった時点でゲームオーバー(倒産)です。
2つ目は、お金が出ていかない損失です。
例えば、上記の例示で言うところの、不良在庫の評価減や土地・建物の減損は損失の原因ではありますが、資金の流出はありません。(平たく言うと、在庫や土地を買ってお金が出ていったのは過去の話であって、”評価減や減損”という行為ではお金は出ていかないのです)
というわけで、赤字そのもので倒産はしないのです。赤字の結果、”お金がなくなったら”倒産するのです。
債務超過でも倒産しないケース
では債務超過はどうでしょう?
債務超過は会社の資産よりも負債の方が大きくなっている状況です。
しかし、債務超過に陥っていても、必ずしも倒産するとは限りません。
上で、会社が倒産するのは、お金が払えなくなった時と説明しました。
そう、債務超過であってもお金が払えなくなる状況になっていなければ、倒産しないのです。
どういうことかというと、債務超過であっても、銀行や仕入先が菩薩のように優しくて、
「ほんとは今月に払ってもらいたいけど、一年先延ばしにしてあげるよー」みたいに言ってくれた時は、残っているお金を運転資金として通常通り使うことができるので、倒産しないのです。
大事なのは、赤字を防ぐこと以上に、資金ショートを防ぐこと
会社は”継続してなんぼ”です。会社が会社として残って事業を続けていれば、再起は可能です。新しい製品を生み出すことができるかもしれませんし、新たな融資先を見つけられるかもしれません。だから一時赤字が出たとしても、生き残ってさえいれば、復活は理論上可能なのです。
しかし、資金ショートは駄目です。資金ショートは会社をなくしてしまいます。
ですから、事業を営むにあたっては、お金に余裕をみておくための”資金管理”が損益管理よりも重要と言われるのです。
今日はここまで。
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