頭の中に刷り込まれている常識を改めて疑うというのは、難しいものです。でも、賢く生きていくためには必要な技術。
スーパー高校生現る
テレビを見ていたら、ある高校生の研究活動が紹介されていました。
セミは地上に出てきてからおよそ1週間でその寿命を迎えるというのが定説です。
原田もご多分に漏れず、子供のころからこの説を聞かされ、その真偽について疑問をもつことは特段ありませんでした。
ところがこの高校生は違いました。
地上に出てからのセミの寿命は1週間という定説中の定説に疑問を投げかけたのです。
彼はセミの寿命が1週間であることを確かめるべく、セミを捕獲しまくり、捕獲したセミの羽にナンバリングをした上でリリースするということを夏休みの間中、ひたすら繰り返しました。
そして、クマゼミが15日、ツクツクボウシが26日、アブラゼミが32日(いずれも捕獲863匹中の最長記録)も生きていたことを”実証的に”明らかにしました。
“実証的”は研究の基本
“実証的”というのは”証拠をもって”という意味です。
彼のすごいところは、定説を定説として受け入れるのではなく、実証的にその説の確からしさを証明したところです。
この実証的というのは、あらゆる研究、疑問解決のための基本であり、かつ最も重要な考え方の一つです。
どんな素晴らしいアイデアも証拠を伴っていなければ信用してもらうことができません。
セミの寿命程度のことであれば、それが1週間であろうが、1ヶ月であろうが、こう言っちゃなんですが結構どっちでもいいです。1ヶ月?フーンで終わりです。
いや、もしかしたらこの実証的研究により、小中学校の理科の教科書が書き換えられる可能性があるから、そうなったら大事ですね。
しかし、何か新しいアイデアで人の興味を引こうと思ったり、お金をもらおうと思った時にはそうはいきません。
「こんな良いアイデアがあります!お金下さい!」→「エビデンス(証拠)出せ!」となります。
生きるための”実証的”の習慣
学術論文なんかはまさにそうです。証拠を積み重ねることで、読者に納得してもらうことを目的としています。
ちなみに、公認会計士のメインのお仕事である会計監査もそうです。
会計監査では、”実証手続”という言葉を使います。
会計監査の目的は、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表に大きな誤りがないことを保証することなのですが、その目的を達成するために、財務諸表に計上されている金額が正しいかどうかの証拠を集めます。
例えば現金であれば、そのまんま、そこにある現金を数えます。
売掛金であれば、得意先に対して、「こっちは売掛金○○円になってますけど合ってます?」っていう質問状を出します。
売上であれば、送り状や検収書、振込明細を見たりすることで、本当にその売上が成立していることを確かめます。
どんな主張も本当に納得してもらおうと思ったら証拠出しましょう。
逆に証拠の示されていない主張については、その真偽を疑う習慣をつけたいものですね。
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