営利企業の論理に騙されないために

ビジネス
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営利企業は自社の利益を守るために、ターゲットと認めた顧客に喜んでもらえるように企業努力をします。全国民に向けて製品・サービスを発信しているのではありません。

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企業の経営理念にはある言葉が隠されている

多くの株式会社では、”〇〇を通して社会に貢献する”などといった風に、企業理念や経営理念といった形で社会的使命をうたっています。

例えば以下のような感じです。

  • 笑顔のために 期待を込めて(トヨタ)
  • A Better Life, A Better World(パナソニック)
  • 自由でみずみずしい発想を原動力にすばらしい夢と感動ひととしての喜びそしてやすらぎを提供します(オリエンタルランド)

しかし、これらの企業理念には、意識的かそうでないかに関わらず、すべてにある言葉が省略されています。

それは、”自社が利益を上げた上で”という前置きの言葉です。

  • 自社が利益を上げた上で、お客さんの期待を上回って笑顔になってほしい
  • A Better Life, A Better World, Based on our own Profit(英語自信無し)
  • 自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供します。ただしお金はしっかりいただきます。

なぜそんなことが言えるか。

もし、自社の利益を前提としていないならば、損益計算書上に利益が残っているはずがありません。

値引きをもっと大きくして利益を圧縮したり、より多くの人を雇用したり、利益を0にするぐらいの寄付をするのではないでしょうか。

というか、そもそも株式会社である必要がありません。

株式会社はその存在自体が営利、つまり利益を上げることを目的としています。

資本家が自分の資金を投下して、儲けをだして、それを投資家で分け分けしようというのがその発想の原点だからです。

利益をとるつもりがなく、本当に社会的使命だけを果たしたいのであれば、その崇高な使命を国に示して、税金の減免もある非営利法人になっているはずです。

街に出て目にする企業、テレビで目にする企業のほとんどは株式会社です。

つまり営利を求めています。

そこを意識しておかないと、私たち(個人)にとって不利益な考え方を刷り込まれてしまう可能性があります。

完全に公平な会社なんてない

株式会社の利益は根源的にはどこから産まれるのでしょうか。

それはもちろん我々消費者です。

しかし、単に”消費者”といっても、それはほとんどの場合”全国民”を指すわけではありません。

なぜならば、各々の企業にはターゲットとなる顧客層が存在するからです。

  • 車屋としてのトヨタにとっての利益の源泉はザクッと言えば20代から60代ぐらいの男性でしょう。
  • 家電屋としてのパナソニックにとっての利益の源泉は同様に20代から60代ぐらいの女性でしょう。
  • オリエンタルランドのメイン顧客は10代から40代ぐらいの比較的若者でしょう。

各企業はその顧客層が喜びそうな製品やサービスを開発し提供します。

当然ですね、見当違いな顧客層に向けた製品やサービスを作っても、利益が上がらないですもんね。

つまり、企業は自社が儲かるために、ある意味非常に不公平な考え方に基づいて経営を行っています。

マスコミの偏向報道は右か左かだけではない

この考え方に基づくと、とあることに注意しないといけないことがわかります。

日本の新聞やテレビと言ったマスコミが公正な報道をしていると思っている人は、よもやほとんどいらっしゃらないでしょう。右か左かという話ですね。

では、右でも左でもなければ、その報道は信じていいでしょうか。

この流れで言えばNoですよね。ではなぜNoなのか。

そこで、先ほどの顧客ターゲットという話が出てきます。

マスコミがターゲットとする顧客層とは誰でしょうか。

若者ですか?男性ですか?女性ですか?サラリーマンですか?違いますね。

近年の若年層は新聞を読みません。テレビも昔に比べるとあまり見ません。

では依然としてテレビを見、新聞を読むんでいるのは誰かというと、そう、高齢者ですね。

何歳からが高齢者かという議論はさておき、比較的お年を召した人達が現在のマスコミのメインターゲットです。

そうなると、マスコミは右にも左にも偏ってなかったとしても、高齢者向けに偏った報道をするケースがあります。

例えば、年金制度に関する報道は、明らかに高齢者を喜ばすものになります。

現在のままであれば、今保険料を払っている現役世代が将来受け取る年金は、現在の受給者世代に比べて、極めて低い水準になると見込まれています。

これを是正しようとすれば、現在の年金保険料負担を軽くしたり、現給付額を減額したりという、高齢者に痛みを強いることになります。

しかし、マスコミは決してそのような論調での報道をしません。

そうですよね。

高齢者を怒らせたら新聞買ってくれなくなりますもんね。テレビも見てくれなくなりますもんね。

企業は自身の顧客”だけ”を喜ばせようとします。

営利企業である限り、常に特定の顧客層への忖度が働いています。

そのことを意識して企業を見ていないと、思わぬ不利益を被る可能性がありますので要注意です。

※ゲーム会社の任天堂は企業理念や経営理念に相当するものを言葉で示していません。もちろん経営者の頭の中にはありますが、それを言葉に表してしまうと、その言葉に縛られてしまって独創性を発揮できなくなるからだそうです。正直ですね。

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