こんにちは原田です。
猫と学ぶ簿記超入門 第11話をお届けします。
前回に引き続き、仕訳を切る上で実務的に考慮しないといけないことの解説です。
特に消費税については、”簿記の学習”というラインからは少し離れるのですが、
実務上避けては通れないところですので、是非読んでみてくださいね。
登場猫物と登場人物
原田会計の招きネコ、マネ
原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)
前回のお話
仕訳の日付は結構あいまいな時があります
ひで:さて、昨日の続きいくで。
まず日付な。
マネ:これも迷うところなんかないように思うんやけど、
たぶんあやふやなところがあるんやろなぁ?
ひで:そうやねん。
日付が問題になるの勘定科目の代表例は売上やな。
マネ:売上日があやふやってこと?
ひで:そう。細かい話はせんけども、
”いつ、得意先が受け取ったのか”っていうのは、
必ずしもはっきりせえへんことがあんねん。
他にも、有価証券の売買なんかで言うと、
約定日って言う、売買を約束した日で仕訳するのか、
実際に株券とかを受け渡しした日で仕訳するのか、とか。
あとは、普通の経費でも、
モノ・サービスを受け取った日に計上するのか、
請求書が来た日に計上してもいいのかっていう、
単純な問題が実務的にはあったりするしな。
ちなみに、原則はモノ・サービスを受け取った日な。
消費税区分は難易度高
ひで:さぁこれよ。一番迷うとこちゃうかな?
マネ:なんでなん?
ひで:モノ・サービスを買うと、消費税がいるやろ?
普通にって言うのも変な話やけど、
まぁ、普通に国内で、ヨドバシとかで108,000円のパソコンを買ったとしたら、
8%の消費税がくっついてきてるから、そのうち8,000円は消費税やろ?
マネ:うん、そうやな。
ひで:やけど、世の中そういう取引ばっかりとちゃうねん。
ここは、ちょっと専門的な話になるけど、がんばってついてきてや。
あんな、世の中の取引は次の4つに分けることができんねん。
- 課税取引
- 非課税取引
- 免税取引
- 課税対象外
ひで:まず課税取引っていうのが、さっきみたいに普通に、
100,000円の取引に8,000円の消費税がかかりますみたいなやつな。
この”普通の”っていうのを、言葉で表すと↓ってなる。
消費税の課税の対象
- 国内において
- 事業者が事業として
- 対価を得て行う
- 資産の譲渡等
さっきのパソコンで言うたら、
- ヨドバシで買うから”国内”
- 事業に使うパソコンやから、”事業者が事業として”
- お金と引き換えにパソコンをもらうから”対価を得て”
- 同じく、パソコンっていう資産の受け渡しやから”資産の譲渡”
となる。4つの条件に全部当てはまってるから”課税取引”わけや。
逆に、この4つの条件の内、
一つでも当てはまってなかったら、“課税対象外”。
つまり、仮に支払ったお金が108,000円やったとしても、
課税対象外やと、その108,000円の中に、
消費税は入っていないって判断するわけやな。
よく実務で遭遇するのは、寄付とか贈与。
それとか、商工会議所とか同業者団体の会費な。
ここで問題になるのは”対価性”。
つまり、払ったお金に対して、
”明確に”返ってくる何かがあるかどうかっていうところな。
やから、消費税の課税対象かそうでないかっていうのは、
一つ一つの取引について、丁寧に判断していかなあかんねんで。
マネ:難しそうやな。わからんかったら聞いていい?
ひで:当然や。消費税は税理士でも迷うことがあるから、
ちょっとでも判断に怪しいところがあったらちゃんと聞くんやで。
マネ:あ、あと非課税と免税は?
ひで:どっちも本来は課税取引なんやけど、
“大人の事情により税金は不要”っていう取引やねん。
これは、課税-不課税の判断ほどには難しくないから、
代表的な取引だけ頭に入れといたらええわ。
非課税取引
- 土地の譲渡及び貸付
- 有価証券等の譲渡
- 支払手段(小切手とか約束手形)の譲渡
- 預貯金の利子、保険料
- 切手類の譲渡
- 商品券・プリペイドカードの譲渡
- 役所とかで払う手数料(登記費用とか)
- 為替両替
- 保険医療の給付
- 介護保険サービス
- 社会福祉事業サービス
- 助産
- 火葬・埋葬
- 障害者用物品の譲渡・貸付
- 学校教育
- 教科書
- 住宅の貸付
免税取引
- 輸出取引
非課税の方はいっぱいあるけど、要するに、
本来は消費税が課されるんやけど、”消費”っぽくなかったり、
社会的な配慮が必要やったりする取引なんやで。
マネ:あー、覚えてなくても何となく判断つきそう。
ひで:まぁ、今消費税の難しいことを解説するつもりはないから、
わからんことがあった都度質問するでええよ。
摘要には必要十分な情報を
ひで:最後に摘要。
勘定科目・貸借・金額・日付・消費税の5つで
書ききれへんことをメモっとくところな。
マネ:どんなことを書いとくん?
ひで:取引先の名前とか、何を買ったとか、
とにかく後から仕訳を見返した時に、
どんな取引やったかっていうのを思い出すために必要なことやな。
マネ:どこまで書くか迷わへん?
ひで:たくさん書きすぎるとそれはそれで面倒やし、
書かなすぎもあかんし。
必要十分のことを書く練習が必要やな。
マネ:練習するしかないってことか。
ひで:過不足あったらちゃんと指摘したげるし心配せんでええよ。
というわけで、実務で仕訳を切る時の注意点これにて終わり。
マネ:おつかれっしたー。
(次回へ続く)
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