【第14話】売上と仕入の基本的な処理の流れその2

猫と学ぶ簿記超入門物語
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こんにちは原田です。

猫と学ぶ簿記超入門 第14話をお届けします。

前回に引き続き、売上・仕入に関する

基本的な処理をご説明します。

今日は値引・割戻・割引のお話です。

これら3つは名前が似ていて、

処理も似通っていますが、

丸暗記してしまうのではなく、

ちゃんと意味合いを理解しておくのが吉。

登場猫物と登場人物

原田会計の招きネコ、マネ

原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)

前回のお話

【第13話】売上と仕入の基本的な処理の流れその1
昨日は売上・仕入の基本的な処理方法である、 三分法をご説明しましたので、 情報がフレッシュなうちに、売上・仕入に関係する仕訳処理を どどんとご説明していきます。 今日はいわゆる"掛け売り"・"掛け買い"と手形取引の話です。

ひで:じゃあ昨日の続き、値引・割戻・割引やで。

マネ:なんかめっちゃ似てる。ややこしい。

ひで:そうやねん。

まぁでも、実務で使ってたら嫌でも覚えてしまうから問題なし。

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売上値引・仕入値引

ひで:値引は一番わかりやすいかな。

いわゆる値引やしな。

マネ:定価1,000円のところを900円で売りますみたいな?

ひで:うん、まぁそうやねんけど、

値引きの考え方は会社によると思うねん。

マネ:えーと、何が言いたいのかね?

この説明をする前に、勘定科目の使い方についてちょっと説明しとくな。

先に答えを言うてしまうと、売上に値引を適用する時には、

“売上値引”っていう勘定を使うねんけど、

実は”売上”勘定と”売上値引”勘定はおんなじもんやねん。

マネ:んー、何を言うてるかわからんなぁ。

ひで:あんな、簿記の最終目的は貸借対照表(B/S)と

損益計算書(P/L)を作ることなんやけど、

ほとんどの場合”売上値引”勘定って出てこーへんねんな。

マネ:まだ話が見えへんで。

ひで:つまりな、売上値引勘定は売上勘定の控除科目なんや。

売上は”+”の売上、売上値引は”-”の売上。

“この分は値引額なんやで”っていうことを

内部管理上明確にしとくための勘定っていうことやな。

具体例見てみた方がええかな。

1.1,000円で売りました。

売掛金 1,000円 売上 1,000円

2.100円値引きました。

売上値引 100円 売掛金 100円

ひで:ほんでこの2つの取引を損益計算書に表すと、

損益計算書

売上


900円


となる。

マネ:最終的に売上値引っていう勘定科目はなくなって、

売上勘定に吸収されてしまうっていうことか。

ひで:そうそう、そういうこと。

ほんで、話を戻すと、

値引は結局売上と相殺されるから、

値引の処理を売上値引勘定でするか、

売上勘定でするかは会社の自由やねん。

やから、さっきみたいに、

売上勘定と売上値引勘定で別々に管理してもいいし、

売掛金 900円 売上 900円

っていう風にいきなり、値引後で売上計上しても良いっていうこと。

マネ:あー、やっと言いたいことがわかった。

一応、売上値引勘定っていうのはあるけど、

内部管理上必要なかったら売上勘定一本で処理してもええっていうことやな。

ひで:そう、そういうこと。

ちなみに仕入側も一緒な。

1.1,000円で買いました。

仕入 1,000円 買掛金 1,000円

2.100円値引いてもらいました。

買掛金 100円 仕入値引 100円

っていう風に、仕入勘定と仕入値引勘定を別々に使うか、

もしくは

仕入 900円 買掛金 900円

っていう風に、最初から値引後の金額で仕入計上するかな。

マネ:おっけーです。

売上割戻・仕入割戻は値引と処理は同じ

マネ:割戻って聞いたことない。

ひで:そやなぁ。あんまり一般的ではないなぁ。

みんなが知ってる言葉で言うとリベートやな。

マネ:猫がそんな言葉知ってると思う?

ひで:それはすまんぬ。

さらにかみ砕いて言うと、ボリュームディスカウント。

マネ:ボリュームって言うことは量?量値引?

ひで:そう、量値引。

つまり、一定量以上のお買い物をしてくれたら何%引きますよみたいな。

マネ:あー、やっとわかった。

ひで:取引の条件として、例えば基本単価は1,000円やけど、

100個以上買ってくれたら5%引きますよっていう感じな。

で、仕訳は値引と全く一緒な。

勘定科目が売上割戻・仕入割戻になるだけ。

ほんで、割戻勘定を使わずに、

売上・仕入一本で処理してもいいっていうところも値引と同じ。

1.1,000円で売りました。

売掛金 1,000円 売上 1,000円

2.100円の割戻を適用しました。

売上割戻 50円 売掛金 50円

仕入の場合は

1.1,000円で買いました。

仕入 1,000円 買掛金 1,000円

2.100円の割戻を受けました。

買掛金 50円 仕入割戻 50円

で、結局損益計算書は

損益計算書

売上


950円


値引の時と全く一緒な。

マネ:呼び方だけの問題やな。

売上割引・仕入割引は金融取引

ひで:最後に割引な。これは値引・割戻とはちょっと違う。

マネ:割戻と割引似てるけどな。

ひで:そう。似てるけど、意味合いは違う。

値引・割戻はさっき説明したように、

売上・仕入の控除、つまり金額修正なんやけど、

割引は売上・仕入の取引とは全然関係の無い、

経済的利益のやり取りやねん。

マネ:また難しい言い方するーー。

ひで:売上・仕入の取引そのものとは切り離して考えなあかんっていうこと。

具体的に言うと、売上値引勘定と仕入値引勘定を使うねんけど、

こいつらは、売上・仕入の控除科目じゃなくて、営業外損益やねん。

マネ:は?いきなり営業外損益が出てくんの?なんで?

ひで:そもそも割引って何っていうところを説明すると、

“売掛金・買掛金を取り決めよりも早く払ったことによる金利分の返還”やねん。

売掛金・買掛金っていうのは、

ちょっと難しい言い方になるけど、”支払いの猶予”やんか?

マネ:支払いを待ってやってる・待ってもらってるっていうことやな?

ひで:そう。ほんで、猶予を与えてる側、つまり”売り側”からすると、

ほんまは3か月後にしか払ってもらえへんのに、

1か月後に払ってもらえたらうれしくない?

感情的にもそうやけど、資金繰り的にも。

マネ:あー、そら、2ヶ月早くもらえたら、

その分借入金とかも減らせるかもしれへんもんな。

ひで:そう、そういうことよ。

仮に2ヶ月分資金繰りに余裕ができて、

ほんまやったら借入金で回さなあかんかった資金が、

借りなくてもよくなったりするやん?

ほんなら、借入してたら必要やった利息が必要なくなるやん?

マネ:お、おう、なんとなくわかってきたぞ。

早く払ってもらえたら、利息分を得するから、

それを得意先に還元してあげるっていうことでOK?

ひで:その通り。割引は金利の還元。

金利の還元っていうことは、金の貸し借りの一環な。

前にもちらっと言うたんやけど、

簿記においては、本業つまり営業取引と、

金の貸し借りつまり金融取引は別ものな。

ほんで、金融取引は”営業外”な。

支払利息が営業外費用にあるのと理屈は一緒。

マネ:つながりましたー。

ひで:というわけで、具体的な仕訳はこうなる。

まず売り側。

1.1,000円で売りました。

売掛金 1,000円 売上 1,000円

2.決済条件よりも早く払ってくれるというので、1%の割引を適用しました。

売上割引 10円 売掛金 10円

損益計算書での表示は

損益計算書

売上


営業利益     
営業外収益    
営業外費用    
売上割引

1,000円


XXX円
XXX円
XXX円
10円

ということで、売上とは相殺できひんのな。

マネ:別物の取引やからやな。

ひで:仕入の場合はこうな。

1.1,000円で買いました。

仕入 1,000円 買掛金 1,000円

2.決済条件よりも早く払うということで、1%の割引を受けました。

買掛金 10円 仕入割引 10円

損益計算書での表示は

損益計算書

売上


営業利益     
営業外収益    
仕入割引
営業外費用    

1,000円


XXX円
XXX円
10円
XXX円

ひで:OK?

マネ:OK!

(次回へ続く)

【第15話】棚卸資産の払い出し単価の算出方法
今日は棚卸資産の評価についてご説明します。 棚卸資産の計算がきちんとできていないと、 売上総利益が適切に算定できません。 売上総利益が適切に算定できないと、 経営計画や予算が狂ってきます。
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