【第27話】1年に一回は棚卸を実施して在庫の状況を把握するべし

猫と学ぶ簿記超入門物語
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こんにちは原田です。

猫と学ぶ簿記超入門 第27話をお届けします。

今回のテーマは棚卸。

棚卸は会社にとって一大イベントです。

工場や倉庫を止めないといけないですし、

手間も時間もかかります。

それでも棚卸は実施しないといけないのです。

 

登場猫物と登場人物

原田会計の招きネコ、マネ

原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)

前回のお話

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ひで:あ、小杉社長のとこ来月決算や。

ちゃんと計画立てて棚卸せなあかんでって言うとかなあかんな。

マネ:なんかそれいろんなクライアントの社長に言うてるけど、

そんなに大事なん?

ひで:大事やから言うてるんやんか。

マネ:どういう風に大事なん?

ひで:棚卸って何のためにやるか知ってるか?

マネ:在庫の数を数えるため。

ひで:とりあえず正解なんやけど、

肝心なのはなんで在庫の数を数えなあかんのかっていうところやな。

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棚卸をしないといけない3つの理由

マネ:在庫の数を数える理由は、期末の棚卸資産残高を確定させるためやろ?

ひで:うん。それと、棚卸資産残高を確定させるっていうことは、

裏返すと、売上原価の額を確定させるっていうことでもあるんやで。

マネ:前に説明してくれたやつやな。

三分法では、期首の棚卸資産残高に当期の仕入高を足して、

期末の棚卸資産残高を引いたら、当期の売上原価の額になるっていうやつ。

【第15話】棚卸資産の払い出し単価の算出方法
今日は棚卸資産の評価についてご説明します。 棚卸資産の計算がきちんとできていないと、 売上総利益が適切に算定できません。 売上総利益が適切に算定できないと、 経営計画や予算が狂ってきます。

ひで:そう、それ。三分法を使ってる場合、

期末の棚卸資産残高を確定させんと、損益計算書が作れへんねん。

これが棚卸をせんとあかん一つ目の理由。

マネ:え、理由ってこれだけとちゃうん?

ひで:ちゃうんやなー。

棚卸で在庫の過不足をチェックする

ひで:2つ目の目的は棚差の把握やな

マネ:棚差って何?

ひで:棚差っていうのは、棚卸差異の略で、

想定してた在庫数量との差のことやな。

在庫を扱う仕事っていうのは、

何もノーチェックで在庫の出し入れをしてるわけじゃなくて、

入出庫管理って言うて、入庫出庫の度に伝票を書いたりして、

常に今何が何個あるかっていうのを把握するもんなんや。

これがまぁ言うたら、商品有高帳って言うたり、

在庫の補助簿っていうたりするんやけど、名前はともかく、

普段から基本的には在庫数量ってリアルタイムで追いかけてるものなんよ。

追いかけてるものっていうか、追いかけてるべきっていう方がええかな。

これを”理論在庫”っていう。もしくは”帳簿在庫”。

でも、理論は所詮理論でしかないから、定期的に数量を確認しにいくねんな。

それが棚卸。

マネ:結局数を数えに行くんとちゃうん?

ひで:行為としてはそうなんやけど、目的が違うの。

棚卸で実際の在庫数量を数えたら、理論在庫数量との差がわかるやろ?

この差ってなんやと思うよ?

マネ:盗まれたとか?

ひで:そうそうそう、そういうこと。

他にも入出庫数量の入力誤りとか、そもそも入出庫の記録を忘れてたとか。

あとは、在庫が液体とかやったら蒸発してなくなるとかかな。

とにかく、理論上の在庫数量と、実際の在庫数量ってまぁズレるわけよ。

このズレを棚卸をすることによって確認しに行くわけやな。

マネ:ズレを把握できたら何かええことあんの?

ひで:ええことっていうか・・・

ちょっとこれ見てみて。

ひで:この図は在庫数量の出入りを表す図なんやけど、

もし、実際の数量を数えるだけで棚卸差異を把握せんかったらどうなると思う?

マネ:グレーの棚卸差異が無くなって、全部売上数量になる。

ひで:その通り。つまり、本当に売ったことによって減った数量と、

もしかして盗まれたかもしれへん数量がごっちゃになるっていうことよ。

それってやばくない?

マネ:あー、わかった。管理上の問題っていうことやな。

ひで:そういうこと。社長はじめとした管理者は、

どういう理由で在庫が増減しているのかっていうのをちゃんと把握しとかんとあかんねん。

例えば、従業員の在庫横領で派手に在庫が減ってたら、ちゃんと対策とらんとあかんやろ?

マネ:確かに。納得した。

ひで:ちなみに棚卸差異の処理方法は、

通常想定し得る範囲の差やったら売上原価でいいし、

さっき言うたみたいに何か特別な理由がある場合には営業外とか特別にもっていく。

仕入 XXX円 繰越商品 XXX円

ひで:こんな感じ。

一旦理論在庫を全部繰越商品にもっていったんやけど、

棚卸差異として仕入(売上原価)に返すみたいな感じな。

在庫の状態の確認

ひで:3つ目の目的は在庫の状態を確認するため。

マネ:今度は数量じゃないんやな。

ひで:数量じゃない。

何個あるかを数えた上で、その在庫がどういう状態かを確認する。

ポイントは、”今まで通りの値段で売れるかどうか”。

マネ:古くなってしまったりってこと?

ひで:うん、流行が過ぎてしもたとかな。

他にも、腐ってしまって売り物にならへんとか、

市場価格が値下がりしてしまってるとか。

マネ:そういう在庫が発見されたらどうしたらええの?

ひで:もう売り物にならへんかったら捨ててしまわなあかんし、

値下がりしてるやつは実際に売れる値段、

これを正味売却可能価額っていうねんけど、

そこまで価値を下げなあかん。

具体的な仕訳はこう。

廃棄の場合(通常想定し得る範囲の廃棄)

仕入 XXX円 繰越商品 XXX円

ここで言う”仕入”は商品廃棄損っていう意味な。

値下がりの場合も仕訳自体は一緒で、

仕入 XXX円 繰越商品 XXX円

となる。こっちの”仕入”の意味は、商品評価損っていう意味。

まぁ、盗まれたにしても、腐ったにしても、流行りが過ぎたにしても、

結局のところ、通常想定し得る範囲なら全部仕訳は一緒になんねん。

だから、何度も言うてるように管理上の問題やねんな。

マネ:ふーん。利益が計算できたらいいっていうもんでもないんやな。

(次回へ続く)

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