【第13話】売上と仕入の基本的な処理の流れその1

猫と学ぶ簿記超入門物語
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こんにちは原田です。

猫と学ぶ簿記超入門 第13話をお届けします。

昨日は売上・仕入の基本的な処理方法である、

三分法をご説明しましたので、

情報がフレッシュなうちに、売上・仕入に関係する仕訳処理を

どどんとご説明していきます。

今日はいわゆる”掛け売り”・”掛け買い”と手形取引の話です。

登場猫物と登場人物

原田会計の招きネコ、マネ

原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)

前回のお話

【第12話】売上と仕入は三分法だけ覚えとき!
本日は実務での売上と商品仕入に係る仕訳の考え方をご説明します。 売上・仕入と一口に言っても、複数の方法があり、 簿記の入門書などでは、それらがあたかも実務現場で、 "均等に"扱われているかのように記載されています。 しかし実際にはほぼ一択ですので、本日ご紹介する部分だけを 覚えておけば問題ありません。

ひで:昨日は売上・仕入の処理方法の話をしたから、

せっかくやし、今日は売上・仕入のパターンをいくつか紹介しよか。

マネ:そやねん、それ気になっててん。

毎回現金で売って現金で買ってばっかりやったから、

そんなわけあるかい、と思ってたところやわ。

ひで:そう、今日び現金で売上・仕入してることなんか、

飲食店とかサービス業、いわゆるB to Cでない限り、

あんまりあらへんわな。っていうことでいくで。

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掛け売り・掛け買いから現金(振込)払い

ひで:一番簡単なパターンな。

前にも少し説明したけど、事業者同士の売り買いは普通は掛けや。

例えば1ヶ月分の売上金をまとめて、つまり”締め切って”、

次の月末までに振り込んでもらうみたいな感じな。

以下全部、現金・預金は当座預金で説明するな。

掛けで売ったら↓

売掛金 1,000円 売上 1,000円

代金回収時は↓

当座預金 1,000円 売掛金 1,000円

掛けで買ったら↓

仕入 1,000円 買掛金 1,000円

代金支払い時は↓

買掛金 1,000円 当座預金 1,000円

簡単やろ?

マネ:なぁなぁ。そもそもなんで売った時、買った時にその都度お金払わへんの?

できるだけ早くお金欲しいやん。

ひで:え、そんなん、めんどくさいやん?

マネ:めんど・・く・・・さい?は?

それで商売やって金もらってんのに、めんどくさいとか言うてんの?

ひで:やってめんどくさいもんはめんどくさいやん。

めんどくさいこと誰もやりたがらへんやん。

マネ:そういうもんなんか。

ひで:考えてみ?1ヶ月の間に何百とか何千っていう売上とか仕入があって、

その都度現金払いしてたら、ものすごい手間やで?

従業員どんだけ必要やねん。

それか毎日終電ブラック一直線やな。

マネ:まぁー、そうかー。

ということは、手間と引き換えに、

“もしかしたらお金もらえへんかもしれへん”っていうリスクをとってるっていうこと?

ひで:Yes that’s right。

例えば、1ヶ月の売上が1,000万円で、

売掛金の1%は回収できひんっていうのが

経験的にわかってるんやったら、

回収にかかるコストは1ヶ月10万円やろ?

ということは、全部現金払いにしようと思ったら、

その手間を10万円以内でまかなわんとあかんわけや。

10万円やったらせいぜい半日パート一人分やがな。

まぁ、この10万円とか、1%とかっていうのは適当に考えた例やけど。

要するにそういうことな。

あと、そんなして現金払いしてたら、

得意先にも嫌がられるわ。

得意先でもおんなじ手間がかかるんやから。

マネ:ほな逆に、高額で単発の取引ばっかりの会社やったら、

現金払いもあり得るわけか。

ひで:そう、そういうこと。会社の実情に合わせなあかんてこと。



閑話休題:現金掛け値なしの本当の意味

あ、ちなみに、掛け売りの話してるけど、

昔は現金商売なんかあらへんかってんで。

マネ:え?そうなん?

ひで:呉服屋の話なんやけどな、

江戸時代の初期ぐらいまでは、掛け売りが大原則で、

しかも支払いはお盆の時期と年末の2回だけ。

マネ:っていうことは、MAXで1~8月の

8ヶ月もお金が入ってこーへんてことやん?

ひで:そういうことになるなぁ。

ほんで、8ヶ月も待ってたら代金が支払えへんところも

たくさん出てくると思わへん?

マネ:思う思う。

ひで:やから商品には”掛け値”がつけられてたんやで。

マネ:掛け値って何?

ひで:掛け値っていうのは、実際の価格よりも高い値段のこと。

例えば、ほんまは1,000円なんやけど、1,200円ってつけとくねん。

マネ:なんでそんなことすんねん。ぼったくりやんか・・・って、

あ、そうか!代金払えへん得意先がぎょうさんおるから、

その分高く売っとかんとあかんのか。

ひで:そうそうそう、よーわかったな。

やけど、それって結局真面目に払ってくれる得意先に損させてるわけやから、

欠陥システムやと思うねんけどなぁ。

っていうことで、1700年ごろに、あの悪名高い越後屋が

“現銀(金)掛け値なし”って商売を始めたんやで。

マネ:えーと、現金で取引しますよ。

ほんで、掛け値っていうのが、ほんまより高い値段やから、

掛け値が無いっていうことは、ほんまの値段で売りますよっていうこと。

ていうか、ただの現金売り?

ひで:そう!現代では当たり前かもしれへんけど、

当時は超画期的やったらしいで。

マネ:へー。不思議。

ひで:話が脱線した。元に戻すで。

約束手形を使った決済のやり取り

さっきのが基本的な掛け売り・掛け買いの仕訳で、

次は掛け売り・掛け買いからの手形振出しパターンな。

ややこしくなるから、”売り側”だけ説明するで。

まずは通常の売りからスタート

売掛金 1,000円 売上 1,000円

ほんで、その代金を現金じゃなくて手形でもらいますよ、と。

受取手形 1,000円 売上 1,000円

最後に、手形の期日が来て無事お金が入ってきましたよ、となる。

当座預金 1,000円 受取手形 1,000円

マネ:なんで最初から受取手形にせんと、

いったん売掛金で受けんの?

ひで:売った瞬間に受取手形もらえると思う?

受取手形勘定が増えるっていうことは、

手元に約束手形の現物があるっていうことやで?

マネ:あー、そらそうやな。

ひで:やから、受取手形で決済する場合も、

“月末締め翌月末90日手形払い”みたいな決済条件にしとくねん。

あくまで現金の代わりに手形をもらいますよっていうことな。

マネ:納得した。仕入れの場合はこの逆でええんやな?

ひで:うん。一応仕訳書いとくな。

仕入 1,000円 買掛金 1,000円
買掛金 1,000円 支払手形 1,000円
支払手形 1,000円 当座預金 1,000円

手形を銀行で割り引いたり、別の支払いのために裏書したり

ひで:あと、もう一つ説明しとくな。

得意先からもらった約束手形はな、

別に支払い期日まで待たんでも有効活用できんねん。

マネ:こないだ何か言うてたな?割引?

ひで:そうそう。あと裏書。

どっちも資金繰りを良くするための方法やねん。

手形っていうのは、短くても45日とか、長かったら120日とか、

要するに実際にお金が入ってくるまでに時間がかかるわけや。

やけど、本音言うたら早くお金欲しいやんか?

やから、割引とか裏書っていう仕組みがあんねん。

手形の割引

ひで:手形の割引っていうのは、銀行に手形を買い取ってもらうっていうことな。

仕訳はこうなる。

当座預金

手形売却損

950円

50円

受取手形

 

1,000円

 

ひで:手形売却損っていうのは、”金利分”な。

銀行も商売やから、手形の期日までの間の分の金利を、

手数料みたいな感じでとるっていうこと。

マネ:多少の金利を払っても速攻でお金が欲しい時はこれやな?

手形の裏書

ひで:そう。ほんでもう一つが裏書。

裏書っていうのは、もらった手形をそのまま支払いに使うっていうことな。

仕訳はこう。手形で払う。

買掛金 1,000円 受取手形 1,000円

マネ:へー、そんなことができんねや。

ひで:ていうか、そもそも手形の成り立ちから言って、

裏書を前提とした仕組みになってんのよ。

ちなみに、割引も裏書もそうなんやけど、

もし割り引いたり、裏書した手形が”不渡り”を起こして、

手形の期日に割引先である銀行とか、

裏書先の仕入先がお金をgetできひんかったら、

割引・裏書をした自分が肩代わりしてお金払わなあかんねん。

えらいこっちゃ。

ほな今日はこれでおしまい。

明日は値引・割戻・割引の話するで。

(次回へ続く)

【第14話】売上と仕入の基本的な処理の流れその2
こんにちは原田です。 猫と学ぶ簿記超入門 第14話をお届けします。 前回に引き続き、売上・仕入に関する 基本的な処理をご説明します。 今日は値引・割戻・割引のお話です。 これら3つは名前が似ていて、 処理も似通っていますが、 ...
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