【第17話】費用や収益の繰り延べ・見越し

猫と学ぶ簿記超入門物語
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こんにちは原田です。

猫と学ぶ簿記超入門 第17話をお届けします。

昨日は前払費用について説明したのですが、

実は、前払費用と同じような習性を持つ勘定科目が他に3つあります。

前払費用を例に具体的な考え方を学んだところで、

経過勘定項目という全体観を押さえておきましょう。

登場猫物と登場人物

原田会計の招きネコ、マネ

原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)

前回のお話

【第16話】費用の前払い処理-払った分だけ経費になるわけじゃありません-
今回は前払費用についてです。 経費の支払いは経理実務では超頻繁に出てくる処理ですが、 実は全部が全部、単純に費用処理していいものばかりではありません。

ひで:ほんでやな。

マネ:なんや急に。

ひで:前払費用の考え方と処理方法わかったやろ?

マネ:それはわかった。

ひで:実は前払費用はとある考え方の一つの具体例やねん。

マネ:なんのこっちゃ。もうちょっとわかりやすく説明してくれ。

ひで:前払費用っていうのは、

経過勘定項目っていうくくりの中の1つの項目やねん。

マネ:ふーん。ほな、前払費用と似たような勘定科目が他にもあるってことか?

ひで:そうやねん。

まずは局地戦で前払費用を完全に陥落させたところで、

後から絨毯爆撃で経過勘定項目を征服な。

マネ:物騒な例えやの。

ひで:ほなその、残りの経過勘定項目と、

使い方の留意点をそれぞれ説明するで。

ちなみに全体観はこんな感じな。

勘定科目名 費用 or 収益 繰り延べ or 見越し
前払費用 費用の 繰り延べ
前受収益 収益の 繰り延べ
未払費用 費用の 見越し
未収収益 収益の 見越し
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前受収益

ひで:前受収益は”収益”の”繰り延べ”な。

収益の繰り延べやから、先にお金が入ってきてんにゃけど、

まだサービスは提供していないっていう状態な。

マネ:ふんふん。

お金が入ってきてるからといって、

売上にしていいわけやないってことやな。

ひで:そう、そういうこと。

具体的には、昨日説明した前払費用の裏返しな。

保険料やったり、家賃やったり、年間購読費用を例としてあげたやろ?

逆から考えたら、保険屋さん、大家さん、本屋さん。

こういう業種の事業主が、まとめてお金をもらった時に、

ちゃんとサービスを提供してへん分は、売上じゃなくて、

前受収益っていう”負債”に上げとかなあかんねん。

仕訳はこう。

「12月決算で、4月に12ヶ月分の48,000円を受け取り」

お金受け取り時

普通預金 48,000円 前受収益 48,000円

4月度

前受収益 4,000円 売上 4,000円

5月度

前受収益 4,000円 売上 4,000円



12月度

前受収益 4,000円 売上 4,000円

→この仕訳の結果、売上は36,000円、前受収益(負債)は12,000円になる。

前受収益で気を付けとかんとあかんのは、前受金との混同な。

マネ:ほんまや。めっちゃ似てるやん。

ひえ:やから気をつけなあかんねん。

前受金は普通の、つまり単発の売上の代金を先にもらった時に使う勘定。

前受収益は、”継続的な”サービスの代金を先にもらった時に使う勘定。

誤解したらあかんのは、毎月同じものを同じ量売ってる得意先があるからって言うて、

前受収益勘定を使うわけじゃないってことな。

マネ:はいー。



未払費用

ひで:次、未払費用。

これは、”費用”の”見越し”。

やから、もう既にサービスは受けてるけども、まだ払ってへんもの。

マネ:例えば?

ひで:一番代表的なんは給料やな。

前にもどっかで説明したような気もするけど、

給料の計算を、月末締めの翌月25日払いとかにしてると、

期末日時点では1ヶ月分はもう働いてもらってるけど、

まだ支払ってへんことになるやろ?

やからその分はちゃーんと費用にもせなあかんし、

負債にも乗っけとかなあかんねん。

マネ:前払費用と前払収益とはなんかちょっと違う気がするなぁ。

ひで:そうやねん。前払いの方は、何ヶ月分っていう風に、

まとめて払う/もらうっていうことがほとんどなんやけど、

未払費用と、後から説明する未払収益は1ヶ月分がほとんどやな。

3ヶ月も4ヶ月も請求せずに待ってもらえるっていうことが、

一般的な商習慣ではあんまり無いっていうことかな。

仕訳はこうな。

「期末月に100万円の給料が未払状態になってます。」

給料 1,000,000円 未払費用 1,000,000円

マネ:Oh, very 簡単ね。

ひで:ほんで期が明けたらこう。

未払費用 1,000,000円 給料 1,000,000円

昨日も説明した再振替仕訳な。

この仕訳を入れておくことによって、次の期に給料を支払った時には、

何も考えずに、

給料 1,000,000円 現金 1,000,000円

っていう仕訳を入れればいいことになる。

マネ:ちょっと待って待って。

難しくなってきた。

ひで:仕訳を一つ一つ丁寧に読んでいくんやで。

1つ目の仕訳が今年の仕訳。2つ目と3つ目の仕訳が来年の仕訳。

やから、1つ目の仕訳から費用1,000,000円が出てくるやろ?

2つ目と3つ目の仕訳を足すと、貸借相殺して給料が0になるから、

結果的に、

未払費用 1,000,000円 現金 1,000,000円

こうなる。

要するに来年は単に負債を返済しただけみたいになるねん。結果的にな。

マネ:あー、そういうことね。了解了解。

未収収益

ひで:さあ最後の未収収益。

未払費用が分かってしまえば楽勝。

こんどは、”サービスをもう提供したんやけど、支払時期が未到来”っていうやつな。

ただまぁ、実務ではあんまり見いひんかなー。

マネ:経過勘定が4つあっても、平等やないんやな。

ひで:うん。会社にとって、”お金をもらう”っていうのは、やっぱり”売上”やから。

売上以外で継続的に何かお金をもらう取引があるかっていうと中々無い。

代表的なんは定期預金利息とか、貸付金利息ぐらいかなぁ。

いわゆる経過利息っていう奴な。

未収収益 10,000円 受取利息 10,000円

こんな感じで、計算期間は過ぎてるけど、

まだもらえてない利息を先に計上しとく。

というわけで、経過勘定の絨毯爆撃これにて終了。

ま、考え方だけわかっとけばえーよ。

マネ:やっぱり一番使いそうなんは前払費用で、その次が未払費用かな。

ひで:そやな。前受収益と未収収益はやっぱり業種を選ぶな。

んじゃ今日の講義終わり。

(次回へ続く)

【第18話】固定資産を買う・使う・売る
事業経営で固定資産は必ずといっていいほど出てきます。 そして、固定資産を買うのも使うのも売るのも、 特有の知識が無ければ帳簿に付けることができません。 税金計算にも影響してきますので、 損しないようにしっかり覚えておきましょう。
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