【第18話】固定資産を買う・使う・売る

猫と学ぶ簿記超入門物語
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こんにちは原田です。

猫と学ぶ簿記超入門 第18話をお届けします。

事業経営で固定資産は必ずといっていいほど出てきます。

そして、固定資産を買うのも使うのも売るのも、

特有の知識が無ければ帳簿に付けることができません。

税金計算にも影響してきますので、

損しないようにしっかり覚えておきましょう。

登場猫物と登場人物

原田会計の招きネコ、マネ

原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)

前回のお話

【第17話】費用や収益の繰り延べ・見越し
昨日は前払費用について説明したのですが、 実は、前払費用と同じような習性を持つ勘定科目が他に3つあります。 前払費用を例に具体的な考え方を学んだところで、 経過勘定項目という全体観を押さえておきましょう。

ひで:なぁ、こないだ仕事用の車買うたけど、処理方法わかった?

マネ:あ?あー、あれな。とりあえず全部固定資産に計上しといた。

ひで:ほんで?

マネ:ほんで?そんだけやけど?

ひで:お、おう、そうか。減価償却って知ってる?

マネ:なんかこの前聞いたな。あれやろ使った分価値が目減りしていくっていう。

ひで:そう、その処理をせんならんねん。

マネ:ちょっと詳しく教えて。

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固定資産の購入処理

ひで:そんなに難しい話とちゃうねん。

とりあえずまず、210万円の車を現金で買ったとしたら仕訳はこうやろ?

車両運搬具 2,100,000円 普通預金 2,100,000円

あ、買うときの仕訳で一つ言うとかなあかんことあったわ。

付随費用ってわかる?

マネ:付随?付随やからなんかくっついてくる費用。

ひで:そう、くっついてくる費用。

例を挙げると、引取運賃、荷役費、運賃、運送保険料、購入手数料、関税。

つまり、その資産を買うにあたってどうしようもなくかかってしまう費用のこと。

ということで、例えば納車費用を10,000円取られたりする場合には、

その10,000円も固定資産の中に含めんとあかんねん。OK?

マネ:今回の車は、請求書に載ってた費用全部固定資産に含めてるから大丈夫!

ひで:あ、自動車保険とか、自動車税とかはあかんで?

マネ:大丈夫。それは別の請求になっとる!

ひで:ほんなら、今回は210万円の車を期首に買って、

1年間乗ったっていうところからスタートしよか。



減価償却は資産の価値の目減り

ひで:さっきも言うたけど、減価償却っていうのは資産価値の目減りやねんな。

やから、例えば車で言うと、

1年乗ったらどれくらい目減りするのかっていうのが問題になる。

どれくらいやと思う?

マネ:えーと、今年1年で8,000km分。

ひで:全部で何km走れんの?

マネ:そんなんわからへん。日本車は20万km余裕とかって聞くし。

ひで:せやろ?わからへんやろ?

わからへんから、お上(国税局)がちゃんと教えてくれる。

【確定申告書等作成コーナー】-耐用年数表

このリンク先の、車両・運搬具、工具の耐用年数のとこ見てみ?

この車は普通自動車で、用途も普通。

やから、一般用のもの→その他のもので6年や。

だいたい6年使えたらええでしょ?ってお上が決めてんねん。

ほんでこんどはこれ。

減価償却資産の償却率表

これの、定額法償却率6年のところ見てみ?

マネ:0.167

ひで:そう。これが定額法6年の償却率。

これを元値210万円、取得価額っていうねんけどな、に掛ける。

マネ:(電卓スタタタン)350,700円

ひで:OK。これがこの車の1年分の減価償却費。

マネ:そしたらこの額を固定資産から費用にもっていったらええの?

ひで:そうなんやけど、ちょっと特殊な勘定科目を使う。

減価償却費 350,700円 減価償却累計額 350,700円

マネ:右の、なんぞ、これ。

ひで:この減価償却累計額っていうのは固定資産の控除科目やねん。

1年間固定資産を使った結果、

  期首 期末
車両運搬具 2,100,000円 1,749,300円

これでもええねんけど、直接引いてしもてるから、

元値がいくらやったかわからへんようになるやろ?

やから、元値が分かるように、

元値はいくらいくらですよー、

今までの減価償却費の累計はいくらいくらですよー、

っていう風に書く方が便利やねん。

  期首 期末
車両運搬具
減価償却累計額
2,100,000円
0円
2,100,000円
▲350,700円

ひで:合計したら同額やろ?

マネ:ほうほう、なるほど。

ひで:これが減価償却の基本的なやり方な。

あ、さっきさらっと”定額法”っていう言葉使ったん気づいた?

減価償却のやり方には他にも定率法とか何種類かあんにゃけど、

今回は考え方っていうことで、説明は省略。

実務上は、定額法か定率法を選べるっていうことだけ知っとき。

あ、それとさっきの例は1年分やったやん?

これが例えば期の真ん中で購入した場合には、

当然減価償却も月割りで半分になるしな。

マネ:350,700円を12で割って、6掛けたらええんやろ?

ひで:そう、そんだけの話。

固定資産の売却処理

ひで:ほな最後に売却な。

仮に、さっきの車を1年半乗った時点で、

1,423,950円で売ったことにしよか。

マネ:うわ、もったいな。

ひで:仮定の話やんけ。

そしたら、わかるところから仕訳組み立てていこか。

マネ:よっしゃ。お金が1,423,950円入ってくるのは間違いないから、

普通預金に振り込みとして、とりあえず借方に普通預金1,423,950円。

ひで:うんうん、それはOK。

マネ:ほんでー・・・・・車を売るから、車両運搬具を消さなあかんから、

貸方に車両運搬具を・・・いくらや。わからん。

ひで:1年半乗ったって言うたやろ?

1年目の分の減価償却はその前の期に費用計上したから、

残り半年分を売った期の費用にせなあかんがな。

マネ:ああ、そういうことか。

ほんなら、2年目の半年時点でいったん減価償却の計算したらええんやな?

減価償却費 175,350円 減価償却累計額 175,350円

350,700円の半分やから、175,350円やろ?

ひで:そう。そしたら、半年時点でのB/Sはどうなってる?

マネ:えーと、こうか?

  1年目の終わり時点 2年目の半年時点
車両運搬具
減価償却累計額
2,100,000円
▲350,700円
2,100,000円
▲526,050円

ひで:そう、正解。

ほんで、この時点の車を売るわけやから、

この2,100,000円と▲526,050円を全部消せばええねん。

マネ:こう?

普通預金

1,423,950円

車両運搬具
減価償却累計額
2,100,000円
▲526,050円

ひで:うーん、ちょっと違う。

っていうか仕訳にマイナス入るのは少し不細工やと思わへん?

あと、致命的なんは、貸借がバランスしてない。

マネ:あ゛。ほんならこうや。マイナスやから逆に持っていけばええんやろ。

普通預金
減価償却累計額
?????
1,423,950円
526,050円
150,000円
車両運搬具

2,100,000円

と、思ったけど、この150,000円の勘定科目がわからへん。

ひで:これが売却損や。固定資産売却損。

売った時点の車の価値、これを帳簿価額っていうんやけど、

帳簿価額1,573,950円(2,100,000円-526,050円)よりも150,000円安い1,423,950円で売ってしもたから、その差額は損失っちゅーこっちゃ。

普通預金
減価償却累計額
固定資産売却損
1,423,950円
526,050円
150,000円
車両運搬具

2,100,000円

マネ:ということは、帳簿価額よりも高く、

例えば、1,673,950円で売ったら売却益ってこと?

ひで:せやで。

普通預金
減価償却累計額
1,673,950円
526,050円
車両運搬具
固定資産売却益
2,100,000円
100,000円

こうなる。

まとめると、固定資産を売りたい時は、

売る時点までの減価償却費をまず計上してから、

取得価額(元値)と減価償却累計額をもろとも消し去って、

ほんで入金額との差額が借方やったら売却損、貸方やったら売却益。

マネ:よくわかりました先生。

今日はなんか簿記の授業みたいやったな。

ひで:。。。

(次回へ続く)

【第19話】試算表ってそもそも何なの?
猫簿記も18話まで来ており、 いろんな仕訳も徐々に切れるようになってきていると思います。 しかし実は、簿記の根幹部分でまだ説明していない部分があります。 それが試算表です。名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれませんね。 今日は、試算表ってそもそも何なのか、何のためにあるのかをご紹介いたします。
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