こんにちは原田です。
猫と学ぶ経営管理の第12話をお届けします。
今回は飲食店での付加価値の付け方についてです。
私は比較的頻繁に付加価値付加価値と言っているのですが、
飲食店でも当然その考え方が当てはまります。
コストや手間の話もあると思いますが、
一読一考なさってみてはいかがでしょうか。
これってほんまに海鮮丼?
ひで:なぁ、マネ聞いてー。
マネ:おう、所長おかえり。
ひで:さっきな昼ご飯に外で海鮮丼食べてきたんやんかー。
マネ:ほう。よろしゅおますなぁ。おれの分は?
ひで:初めて見つけた店やってんけどな、
ちょっとあっさりしたもんが食べたいなーというわけで、
日替わり定食の生姜焼きじゃなくて、海鮮丼頼んだわけよ。
どうやら夜は海鮮系の居酒屋らしいから、
まぁそうそうはずれは無かろうと思って。
マネ:今日朝から結構モリモリサンドイッチ食べてたもんな。
普段朝ごはん食わんくせに。ほんでおれの分は?
ひで:せやねん、あんまりお腹空いてなかったっていうのもあって。
で、出てきたのが、普通サイズの丼に温かいご飯が敷き詰められてて、
その上にえーと、なんやったかな、
マグロの赤身とゆでだことサーモンと真鯛とハマチがそれぞれ2~3切れずつ。
それと少し小ぶりなボタンエビが一尾。
最後に大葉とその上にわさびが乗せてあって、丼とは別で小皿に醤油っていう状態。
その他には赤出汁と業務用スーパーで買ったっぽいお新香。
以上の内容で、値段はおそらく普通のサラリーマンのランチよりいくらか高い目。
こんな感じやったんやけど、どう思う?
マネ:どう思うって、別に。海鮮丼ってそんな感じとちゃうん?
ひで:うーん、おれが気にしすぎなんやろか。
海鮮丼を海鮮丼たらしめるものとは
ひで:おれが気になったんはな、
この”海鮮丼”のどこに付加価値があるんか?って言う話よ。
海鮮丼らしさっていうんかな。
マネ:新鮮な魚介類と温かいご飯のコラボレーションが付加価値とちゃうん?
それを言うんならわざわざ海鮮丼として一つの丼で出す必要なくない?
温かいご飯を際立たせるのなら、
ちゃんとご飯茶碗に盛って出せばいいし、
新鮮な魚介の刺身っていうんなら、
ちゃんと氷とかの上に盛り付けて出すべきやわ。
わざわざ食材を劣化させて出す必要なんか無いやん?
温かいご飯の上になんか乗せたらぬるくなるんやから。
鮮度の良い魚介類を綺麗な切り付け・盛り付けで温かいご飯と共にいただく。
これやったら完璧。お刺身定食としてな。
おれが言いたいのは刺身定食じゃなくて海鮮丼って言うからには、
ちゃんとそこに海鮮丼としての付加価値をつけるべきやと思うのよ。
マネ:例えば?
ひで:例えば魚の切り身は”漬け”にしておくとか、
ご飯は酢飯にして、胡麻を混ぜ込んで刻みのりを散らしておくとか。
丼の真ん中に卵黄を落としておくとか。厚焼き玉子を具に入れるとか。
なんかこう色々あるやん?刺身単体との違いって。
料理人でもないおれでもこんだけポンポン出てくるんやから。
マネ:おお、確かに。想像しただけでも華やかになった。
でもそんな手間とかかけてたらコスト高になってしまうんとちゃうん?
ひで:それはそれやんか。
刺身定食が仮に1,000円やとして、
海鮮丼が今例にあげたみたいな手間のかかったもんやったら、
当然に1,200円とかになってもおかしくないと思うねん。
そこが付加価値であって、お客さんはそこに対価を支払うわけやろ?
料理屋さんの間の競争で言えば、
ここで言う刺身定食を1,000円で出す店Aと、
この海鮮丼を1,000円で出す店Bと、
付加価値をつけて手間のかかった海鮮丼を1,200円で出す店C。
この3件の店があったとして、AとCは勝負になるかもしれんけど、
Bは明らかに負けてると思わへん?
マネ:正直考えたことなかった。けど、うん、確かに。
ひで:料理屋さんとしての付加価値っていうのは、
使う食材がもし同じやと仮定したら、
調理にかけた手間暇とか技術力、発想・デザイン性みたいなところ、
平たく言うと食材をどれだけ美味しく提供できるかっていうところにあるはずやん。
そう考えると、お刺身on温かいご飯っていうのはどうかと思うねんな。
商売=付加価値をつける作業
マネ:そういえば、前に所長が飲み会のお店選びする時には、
何か一つでも売りのある店でないと選ばないみたいなこと言うてたな。
ひで:そうそう、それよ。
付きだしのひじき煮→マグロとタイとイカのお刺身→グリーンサラダ→季節の焼き魚→ごはん→赤だし→ゆずシャーベット+飲み放題みたいやなつな。
もうね、このコースのどこに付加価値があるんよっていう感じ。
原価をギリギリまで下げて粗利を取ってやろうっていうのが見え見えでゲボ出そうになるわ。
誤解があったらあかんから言うとくけど、
このメニューの一品一品が、ものすごい食材にこだわってるとか、
感動する味付けになってるとかやったとしたら、
それに対してはおれは文句言わんで?ちゃんと付加価値あるもん。
おれが言うてるのはあくまで、
そこら辺のチェーン店で出てくるみたいなやつな。
マネ:なんかあれやな。今回は飲食店の話やったけど、
商売って結局そういうことなんやなって今思った。
アイデアとか知識とか手間暇とかに付加価値は宿るから、
それを放棄した商売はただのセドリ(転売)でしかないんやなあっていう感じ。
ひで:そやな。うちもちゃんと付加価値出していかんとな!
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