意外に知られていない、素人臭いExcel講座です。今回はセルの書式設定をうまい具合に操って、セルの見え方を自在に変えてやろうというお話です。
セルの書式設定とは
まずセルの書式設定とはなんぞやということを一応ご説明します。Excelのそれぞれのセルは実は、「中身」と「見え方」が一致しているとは限りません。
数式が入っている場合はその典型パターンです。セルの中身は「=SUM(A1:E10)」となっていても、「見え方」は「100」とかになってたりするわけですね。
他にも例えば、本日2019年5月30日はセルの「中身」的に言うと、実は「43615」という数字なんですね。ちなみに「1」は1900年1月1日です。「2」は1900年1月2日です。つまり、今日は1900年1月1日から数えて43615日目です。へー。
ちなみにちなみに、じゃあ「43615.5」はというと、2019年5月30日の(昼の)12時00分です。へーへーへー。
セルの書式設定の変え方
それでは、セルの書式設定の種類や変え方をご説明します。
事前準備として、適当なセルになんでもいいので数字を入れておきましょう。で、そのセルを選択した状態で右クリック→セルの書式設定です。リボンから行く場合は「ホーム→数値→右下の小さい矢印」を選択するか、ドロップダウンリストの一番下の「その他の表示形式」です。もしくはショートカットを使って「Ctrl+1」でもいいですよ。ていうか、ショートカットを覚えるのが一番いいです。
すると、12個の表示形式が出てきましたね?この中に自分の表示させたい「見え方」がある場合には、それを選んでおけば問題ありません。
一応簡単にそれぞれ説明しておきます
標準
特段の書式を適用しません。つまり「中身」=「見え方」となります。
数値・通貨・会計
マイナスの値をハイライトしたい時や、桁区切り(カンマ表示)をしたい時に使います。これら3つはほとんど同じ意味合いですが、通貨と会計は¥とか$の通貨記号を数値の頭に表示させることができます。
日付・時刻
入力した数値をあらゆる形で日付・時刻表示に変換してくれます。例えば「年」「月」「日」をそれぞれ表示したり省いたり、 「年」「月」「日」 の間の区切りを「/(スラッシュ)」にしてみたり「-(ハイフン)」にしてみたり、和暦にした西暦にしたり、時刻で言えば、AM-PM表示か24時間表示かとか、結構色々できます。
パーセンテージ
そのままですね。「1」と入れたセルをパーセント表示にすると見え方は「100%」となります。小数点以下の桁数も設定できます。
分数
これもそのままですね。「0.75」と入れたセルを分数表示にすると見え方は「3/4」になります。
指数
天文学とか化学とか特殊な職種や計算をする人でないとあんまり使うことはないと思いますが、例えば「34京」というようなでっかい数字をそのまま表示すると、横にながーくなってしまうので、「3.4E+17」つまり「3.4に10を17回掛けた数字ですわよ」っていう表示にします。逆に「0.00034」だと「3.4E-4」となり、「3.4を10で4回割ってね」となります。
文字列
そのままです。入力した値を「文字」として扱います。この表示形式にすると、数式での演算対象から除外されます。つまり文字列として設定されているセルを含んだセル範囲をSUM関数で合計してみても、その文字列セルは数字ではないとして無視されます。
Vlookupが上手くいかない時なんかは、この文字列表示が悪さしていることがよくあります。検索セルは数値なのに、探しにく先では文字列になっていると、上手く引っかかりません。
その他
その他です。郵便番号表示や、小切手とかで使う漢数字があります。飛天御剣流九頭龍閃もそれです。と思ったら、九頭龍閃はもっと古い漢字使ってました。
ユーザー定義を使いこなせ!
さあ、本日のメインディッシュです。先ほどのセルの書式設定の「その他」の下にまだありましたね?「ユーザー定義」なるものが。
これ、知ってる人にとってはなんてことないと思うんですけど、知らない人からすると得たいが知れな過ぎて、手が出しにくいと思うんですよね。中身も、よくわからん文字化けみたいな感じになってますし。もうちょっととっつきやすい呼び方にしたらいいのに。「自由形式表示」とか。
まずこのユーザー定義に最初から用意されている文字化け君たちの意味をまず説明しておきます。これをまずわかっていないといじり様がないですからね。
ユーザー定義のパート分け
と、その前に、このユーザー定義のそもそもの「書き方」のルールを説明します。元からあるユーザー定義には短い物から長い物まであると思いますが、「;」(セミコロン)で最大3パートに分かれています。一番左のパートが「正の値の表示方法」、真ん中のパートが「負の値の表示方法」、右のパートが「0の値の表示方法」です。セミコロンがなければ、「正の値の表示方法」だけを定義することになります。(もっと正確に言うと、これら3パートは条件付き書式みたいな感じなんですが、使うことはほどんどない、かつややこしいので割愛します)
基本の文字化け君達
それでは基本の文字化け君達の説明です。
G/標準
先ほどの表示形式の一番上にあった「標準」と同じ意味合いです。接頭語や接尾語をつけたりはできるんですが、肝心の数字の部分は「標準」つまり、プレーンなままでいいですよっていうときに使います。
0・0.00
前者は整数表示、後者は少数表示を意味します。「0.00」の「00」の部分は小数点以下桁数ですので、例えば0を4つにすれば小数点以下4桁までの表示になります。
#,##(この辺から文字化け度が上がってきます)
カンマ桁区切り表示にしてくれます。「#,##0」なら整数表示のカンマ桁区切り、「#,##0.00」ならカンマ桁区切りした上で小数点以下2桁まで表示です。
あと、よく使うのが、「#,##,」とか「#,##,,」とかです。これ、どういうことかというと、後部のカンマ1個につき、下3桁を(四捨五入で)非表示にしなさいという決まりです。
すなわち、「123456789」という値に対し、「#,##,,」を適用すると、見た目は「123」となります。いわゆる百万円表示ですね。前者は千円表示です。これはめちゃくちゃよく使いますので是非覚えておきましょう。
%・?/?・E+00
それぞれパーセント表示、分数表示、指数表示に対応します。そのまんまですね。
yyyy
年です。yyにすると2019年が19年になります。
m
月です。mmにすると09月、mmmにするとSepとかになります。mmmmにするとSeptemberになります。
d
日です。ddにすると03日とかになります。ちなみにdddにすると英語の「曜日」のMonとかになり、ddddにするとMondayになります。
h
時間です。hhにすると05時とかになります。
m
分です。mmにすると07分とかになります。
s
秒です。ssにすると08秒とかになります。
aaa
曜日です。↑の具体的な日付の後ろに付加することで、日本語の「曜日」を表示させることができます。
例えばyyyy/mm/dd(aaa)とすると、2019/05/30(木)みたいになります。ちなみにaaaaと4桁にすると「木曜日」になります。
さて、基本はこれぐらいです。他にも細かいのはあるのですが、網羅するのが目的じゃないので。
あとはこれらの基本に「味付け」を施しましょう。味付けというのは、上で説明した「数値をどう表すか」の部分です。よくわからないと思うので、具体的に説明します。
味付け君達
接頭語や接尾語
例えば「123456789」という値を「なんと123百万円」と表示させたいときは
「”なんと”#,##,,”百万円”」とします。つまり「””」で囲った部分はただの飾りの文字列として表示されます。このルールを利用すれば、真ん中のパートを「”▲”#,##」とすれば、通常は「-1,234」と表示されるところ「▲1,234」といった風に表示できます。
ちなみに接頭語や接尾語として以下の文字を使いたい時は「””」で囲まなくても大乗です
「 ¥・$ ・+・(・:・^・’・{・<・=・-・/・)・&・~・}・>・(スペース) 」
数値の前後の「_」(アンダーハイフン)
これはこのアンダーハイフンの後ろに続く文字列(スペースでもいいです)の数の分だけ、隙間を空けて表示せよ、というルールです。他人からもらったExcelの表で、数字の右が妙に空いている時はこれが定義されています。
令和表示
時事ネタとして、別建てで説明します。
「43615」は上でも説明した通り、2019年5月30日を表すのですが、これを令和表示にしたい時はggge”年”mm”月”dd”日”ないし ge”年”mm”月”dd”日” とします。前者であれば令和1年、後者であればR1年となります。gが元号で、eが和暦を表しているということですね。
AM/PM
日付や時刻の後ろにこれをつけておけば12時間表示にしてくれます。
数値の途中に文字列を入れた場合
例えば「123456789」という数値に対して、ユーザー定義を「000-000-000」とすると「123-456-789」になります。わかりやすいですね。
0の連続
「1234」という値を「01234」と表示させたい場合は「00000」とします。「001234」と表示させたい場合は「000000」します。
色
パート毎に表示する色を選ぶことができます。典型的なものとして、マイナスを赤字で表示したい時は、真ん中のパートの最初に[赤]と入れます。青とか緑とかでもいけます。
ふう。こんなもんにしておきましょうか。
長々と説明してきましたが、基本の文字化け君に味付けを施すことで、結構自在に「見え方」を操ることができますので、是非やってみくてくださいね。
終わりに
実は上記以外にも細かいルールや例外が結構たくさんあります。ですけど、説明を聞いて覚えられるものではないですし(原田もそんな全部覚えてないですし)、なんかやってみてなんかおかしいな、と思った時は例外なんだな、と思うぐらいでいいと思います。
以上、長くなりましたが、Excelのユーザー定義の使い方でした。
あ、よく使う定義はExcelマクロに入れておくと便利ですよ。また後日解説します。
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