【第9話】勘定科目を学ぶその5 損益

猫と学ぶ簿記超入門物語
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こんにちは原田です。

猫と学ぶ簿記超入門 第9話をお届けします。

今回は損益計算書に出てくる勘定科目のご紹介です。

引当金のように貸借対照表科目とセットになっているものや、

各種売却損益などを除けば、ほとんどはぱっと見でわかるものばかりです。

貸借対照表勘定とは違って1回で終わりますので安心してくださいね。

 

登場猫物と登場人物

原田会計の招きネコ、マネ

原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)

前回のお話

【第8話】勘定科目を学ぶその4 純資産
今回でやっと貸借対照表に出てくる勘定科目の説明も最後です。今日説明する純資産は、資産でも負債でもない、なんだかよくわからないものです。ちなみに、普段の帳簿作業するにあたって意識することはほぼありません。なので、読み飛ばしていいですよ。嘘です、読んでください。
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損益計算書には利益と言われるものが5つあります

ひで:さぁー、勘定科目の説明も最終回やで。

パッと見でわかる科目も多いから、説明が必要なやつだけな。

と、その前に例によって、損益計算書も利益の段階によって、

区分けがあるからそれを、先に説明しとくで。

マネ:えー、またー?

  • 売上総利益
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 税引前当期純利益
  • 当期純利益

売上総利益

ひで:売上総利益は売買そのものから出てくる損益で、

よく営業マンの評価指標とかになるやつな。

純粋な売買の結果やから。

原価厨の記事でも説明したかもしれんけど、

この損益だけを見て得やとか損やとか判断するのはあかんねんで。

原価厨へ告ぐ -"元を取る"という考えから脱却すべき理由-
物を買うとき、その目に見える範囲の"原価"だけを見て、買うか買わないか、コスパがいいか悪いか、損か得かなどと考えることに意味はありません。出来上がりの商品そのもの、すなわち商品から得られる満足度を見て、その満足度と商品に支払った金額とが釣り合っているかが重要なのです。

営業利益

営業利益は、売上総利益から販管費(販売費及び一般管理費)を引いたやつな。

本業の損益をあらわすから、損益の分析でも一番大事なやつやで。

経常利益

経常利益は、営業損益に、

“本業じゃないけど毎年出てくる損益”を足し引きしたものな。

マネ:経常っていうのは毎年っていう意味?

ひで:まぁそう思っといていいんちゃうかな?

税引前当期純利益

ひで:税引前当期純利益は、経常利益に更に、

臨時巨額な損益を足し引きしたもの。

マネ:臨時巨額って何?

ひで:そのまんま、臨時で巨額。

たまーにしか発生しないもので、金額が大きいもの。

マネ:ほなら使わへん年もあるんちゃうん?

ひで:せやで。

当期純利益

ひで:当期純利益は最後の最後、

税引前当期純利益から税金を引いたもの。

ひで:じゃあ、やっとここから勘定科目の説明な。



売上と売上原価

ひで:ここは大丈夫ということでええな?

マネ:ここは、さすがに。

販売費及び一般管理費

  • 役員報酬
  • 給与及び手当
  • 賞与
  • 賞与引当金繰入
  • 法定福利費
  • 福利厚生費
  • 広告宣伝費
  • 荷造運送費
  • 支払家賃
  • 旅費交通費
  • 会議費
  • 通信費
  • 水道光熱費
  • 消耗品費
  • 新聞図書費
  • 租税公課
  • 減価償却費
  • 修繕費
  • 保険料
  • 支払手数料
  • 業務委託費
  • 貸倒引当金繰入

ひで:販管費はいっぱいあるけど、わからへんのとか、質問あるか?

賞与引当金繰入と賞与

マネ:賞与と賞与引当金繰入ってあるけど、どうちゃうん?

ひで:こないだ賞与引当金の説明したやろ?

【第7話】勘定科目を学ぶその3 負債
さぁ、やっと資産の説明が終わり、次は負債です。負債も流動負債と固定負債の二手に分かれています。資産と同じように、一年以内に払わないといけないものと、一年を超えて払うことになる負債です。

賞与引当金は将来に”たぶん”払うことになる賞与を、

先に費用にしとくねん。

だから、”賞与”の方はもう払い済みなんやけど、

繰入の方はまだ払ってへんねんで。

仕訳でいうたら↓になる。

賞与の場合

賞与引当金繰入

な、繰入の方はお金出ていってへんやろ?

マネ:確かに、費用だけが立って、貸方は負債科目やから、

借金だけが残ってるみたいになってる。

ひで:そうそう、そういう理解でOK。

もうわかったと思うけど、

この○○繰入っていう勘定科目は、引当金勘定とセットな。

繰入/引当金っていう形。

貸倒引当金繰入/貸倒引当金

退職給付引当金繰入/退職給付引当金

法定福利費と福利厚生費

マネ:ほな、法定福利費と福利厚生費の違いは?

ひで:これはな、法律で定められてるか、そうでないかや。

マネ:んなもん、字面見たらわかるわい。中身の話しとんや。

ひで:せやろな。

法定福利費の代表例は、社会保険料な。

健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、労災保険料、雇用保険料。

全部、法定やろ?

それに対して福利厚生費は、法定でない福利のための費用や。

例えば、健康増進のために会社全体で運動会しましたとか、

従業員がジムに通う費用を半分負担しましたとか。

他にも、会社の保養所なんかもそうやし、

カフェテリアプランとか言うて、

従業員がポイントで買い物をできるみたいなやつにかかる費用もそう。

マネ:とりあえず、給料以外で会社が従業員にサービスで

なんかをしてあげたときの費用やな?

ひで:うん、そんな感じで覚えたらええんちゃうかな。

租税公課

マネ:租税公課は?なんか税金ぽいけど、税金は最後やろ?

ひで:税金が最後なんはそうなんやけど、これもしっかり税金やで。

法人税、住民税、事業税以外のな。

印紙税とか、自動車税とか、固定資産税とか。

あと税金以外も少し入ってくんねんけど、

印鑑証明とか住民票の発行手数料、同業者組合・商店会の会費とかな。

たまに諸税公課っていう勘定科目にしてる会社あるけど、

間違いやし気を付けるんやで。

マネ:あーい。まぁこんなところかな。

またわからんところあったら聞くわ。

営業外損益

ひで:次営業外損益。

↓が良く使う代表。他にも色々あるけとりあえずこんだけ。

  • 受取利息
  • 受取配当金
  • 支払利息
  • 手形売却損
  • 雑収益
  • 雑損失

マネ:なあなあ、支払利息って借入金の利息やろ?

これってなんで営業外なん?

本業のために金借りてんにゃろ?

ひで:いい所に目ぇつけたな。

あんな、簿記では金融取引、つまり金の貸し借りは、

本業じゃないっていう風に考えられてんねん。

やから、そこから生じる損益も営業外なんよ。

マネ:ほーん、そういう理屈か。あと、手形売却損は?

ひで:これはほら。受取手形のところで説明したやろ?

銀行に手形持っていったら期日前にお金がもらえるって話。

【第5話】勘定科目を学ぶその1 流動資産
前回までで基本的な仕訳のルールはご説明しましたので、もうどんどん仕訳を切っていってもらえるのですが、そうはいってもどんな勘定科目があって、どんな使い方をするのかというのを知っておくのは悪いことではないので、少し長くなりますが、さーっと読み流してください。

マネ:あー、したした。

でもだからって何で売却損なん?

ひで:銀行の側から考えてみ?

90日後に100万円払いますっていう手形を持ってこられて、

100万円渡せるか?

マネ:うーん、銀行には旨味がないかも。

ひで:せやろ?

だから例えば90日やったら90日分の金利を差し引いてお金をくれんねん。

仕訳で言うたら↓な。

マネ:なるほどな。手形が減って、お金が増えて、ほんでちょっとだけ費用か。

特別損益

ひで:はいきた、臨時巨額。

  • 固定資産売却益
  • 固定資産売却損
  • 投資有価証券売却益
  • 投資有価証券売却損

これも他にも色々あるけど、代表的なものだけ。

固定資産の売買とか、株の売買とかはそうあるもんちゃうやろ?

しかもでかい金額になりがちやし。

マネ:しょっちゅう売買してたり、金額が小さかったらどうするん?

ひで:土地の売買とか有価証券の売買が”本業”やったら、

売上とか売上原価になんねん。

本業じゃなくて、単にしょっちゅうやってるだけとか、

金額が小さい時は営業外損益にもっていく。

マネ:これまたあいまいやな。金額が小さいとか大きいとか。

でもそれが簿記や、て言うんやろ?

ひで:お、わかってきたやん。

法人税・住民税・事業税

ひで:最後に税金。まぁ、これはええやろ。

というわけで、こんどこそ勘定科目の説明すべて終了。

明日からまた通常運転しまーす。

マネ:りょうかいでーす。

(次回へ続く)

【第10話】実務での仕訳の切り方その1
勘定科目の説明が終わり、今日からは実務的な仕訳の切り方に移ります。 簿記の教科書を見ていると、勘定科目と金額ぐらいしか 記載していないことが多いのですが、 実務的には他にも考えないといけないことがいくつかあるので、 どういうところを気にしておかないといけないのかをご説明します。
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