【第21話】売掛金が回収できなくなったらしなければならないこと

猫と学ぶ簿記超入門物語
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こんにちは原田です。

猫と学ぶ簿記超入門 第21話をお届けします。

今日は貸し倒れのお話です。

事業を営んでいれは、飲食店や小売業などで、

100%現金商売でもない限り、

大なり小なり売上債権の貸し倒れリスクに晒されることになります。

貸し倒れが生じてしまうのは致し方ないとして、

簿記ではこの貸し倒れをどのように扱えばよいのかを覚えておきましょう。

登場猫物と登場人物

原田会計の招きネコ、マネ

原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)

前回のお話

【第20話】事業でクレジットカードを使うときの処理
今回はクレジットカードの話です。 個人であれば多くの方がクレジットカードを使っていると思いますが、 事業でももちろんクレジットカードを使うことができます。 ただし、場合によって会計処理が少し異なる場合があるので注意です。

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貸し倒れは商売の宿命

マネ:なぁ、この○×興産の売掛金なんやけどな、

だいぶ長い間入金されてなくない?

ひで:そうやねん。

顧問料が2ヶ月入金されてへんから、

こないだサービス停止したんやけど、

たぶん2ヶ月分の売掛金回収は怪しいんちゃうかなー。

マネ:え?えらい損やん。

ひで:まぁなぁ。しかしまぁ、

商売やってる限り貸し倒れリスクからは逃れられんよ。

うちなんか士業商売で、商品を売った訳でもないから、

損失額なんか大したことないのが不幸中の幸いやわ。

これが、もっと高額な商品、

例えば不動産とかやったら、もっとナーバスやで。

マネ:ほな、そういうリスクがあるのはしゃあないとして、

会計上はなんかしとかんでええんか?

ひで:せなあかん。端的に言うと、

もう回収でけんかもねっていう金額は損失処理しとかんとあかん。

マネ:売掛金をなくしてしまうってこと?

ひで:そんな、もったいないことするかいな。

もしかしたらまぐれで回収できるかもしれへんやん。

マネ:ほんならどうすんねんな。

ひで:それを今から説明すんねん。慌てんな。



貸倒引当金の設定

ひで:まず貸し倒れ引当金の設定の仕方な。

まず、○×興産に例えば100万円の売掛金があるとして、

最近資金繰りがやばいらしくって、

どうやら60万円回収するのが精一杯っていう状況を想定してみよか。

マネ:40万円が回収不可能ってことやな?

ひで:そう、あくまで”見積り”やけどな。

40万円はもしかしたら回収できるかもしれへんけど、

たぶん無理っていう状況。

そんな状況で決算を迎えたら↓の仕訳を切る。

貸倒引当金繰入 400,000円 貸倒引当金 400,000円

マネ:貸倒引当金繰入は費用、貸倒引当金は負債?

ひで:惜しいねぇ。

マネ:なんで?引当金は将来の支払いやから、

借金みたいなもんって前に言うてなかった?

ひで:ほとんどの引当金はそうやねん。

やけど、この貸倒引当金は実は資産やねんなー。

マネ:なぬ?どういうことやねん???

金が出ていくのに資産とはこれ如何に。

ひで:ほとんどの引当金が”負債性”引当金って呼ばれるのに対して、

貸倒引当金は”評価性”引当金って言われんねん。

マネ:負債性っていうのはなんとなくわかるけど、

評価性っていうのがなぁ。

ひで:もっと平たく言うと、控除のための勘定科目。

つまり、もともと100万円やった売掛金から,

40万円控除して正味60万円の価値しかないですよ、

って言うのを表すんやな。

マネ:ということは、あれか、

減価償却の説明の時にあった、減価償却累計額とおんなじか?

ひで、そうそうそう、貸借対照表での見え方は一緒。

売掛金
貸倒引当金

1,000,000円
▲400,000円

ここまでが貸倒引当金の計上な。

実際の貸し倒れ時の処理

ひで:次に顛末、要するに結論の仕訳の説明。

パターン別に解説しよか。

想定通り40万円が貸し倒れた時

ひで:これは簡単。

貸倒引当金 400,000円 売掛金 400,000円

この仕訳を切ることによって、

○×興産に対する売掛金も貸倒引当金も、

全部チャラになってるってことがわかるか?

マネ:わかる。

貸倒引当金が売掛金の控除勘定やっていうても、

概念的には貸方勘定やから、

借方売掛金、貸方貸倒引当金やったのを逆にして消し去ったんやろ?

ひで:よく理解出来ててよろしい。

ここでの注目点は、実際に貸し倒れた時点では損失が出ぇへんっていうことな。

つまり、貸倒引当金を計上した時に、

貸倒引当金繰入っていう形で損失を先に出しておいたからなんやで。

想定を超えて70万円が貸し倒れた時

ひで:今度は貸倒引当金が足りなかった時。

足りなかったらどうなるかというと、

こうなる。

貸倒引当金
貸倒損失
400,000円
300,000円
売掛金

700,000円

マネ:貸倒損失?新しい勘定科目が出てきた。

繰入とどうちゃうねん?

ひで:っていう話になるわな。

繰入は、損失の先き出しな。引当金を計上する時に使う勘定科目。

それに対して貸倒損失は、貸倒引当金を計上する暇もなく、

貸し倒れてしもた時に使う。

だから、この場合、30万円は、実際に貸し倒れた時の損失になる訳や。

想定より少ない30万円が貸し倒れた時

ひで:最後に貸倒引当金が過大やった時。

仕訳はこうなる。

貸倒引当金

400,000円

売掛金
貸倒引当金戻入
300,000円
100,000円

マネ:また新しい勘定科目が出てきた。

でも、これはわかるかも。多すぎたから戻してんにゃろ?

やから実際に貸し倒れた時の収益。

ひで:そういうことやな。

ちなみにこの読み方、もどしいれって読んでもええと思うけど、

正式にはれいにゅう、な。

これで、基本的な貸倒引当金の使い方は終わり。

(次回へ続く)

【第22話】現金残高が合わない時は?→とにかくがんばる
今回は現金過不足の話です。 事業経営で現金を扱っていると、現金残高が合わない時があります。 そんな時はまず原因究明、そしてどうしても原因がわからない場合は、 現金過不足として、雑損失か雑収益で処理します。
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