こんにちは原田です。
猫と学ぶ簿記超入門 第29話をお届けします。
今回は資本取引のお話。
同じお金が出たり入ったりする取引でも、
簿記では損益に入れていいものといけないものがあり、
配当金の支払いは利益剰余金が直接減る資本取引です。
登場猫物と登場人物
原田会計の招きネコ、マネ
原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)
前回のお話
配当金勘定は費用?資産?負債?
マネ:ひでー。ちょっと教えて。
ひで:なんじゃー?
マネ:この出金見てよ。
ひで:ん?配当金230万円の支払い?
これがどうかしたん?
マネ:配当金っていうのは、そりゃ見たらわかる。
仕訳も、
配当金 | 2,300,000円 | 普通預金 | 2,300,000円 |
こうなるっていうのはわかるんやけど、
この借方の配当金って販売費及び一般管理費でええの?
いや、営業には直接関係ないから営業外費用か?
ひで:両方間違い、ブブブのブー。
マネ:なんでじゃー?ほんなら特別損失?
いや、んなことはないな???
ひで:それもブブー。ブブブのブー。
マネ:と、いうことは・・・(੭ ᐕ)) ん?
どういうこと?
ひで:配当金の支払いは損益には入ってこないっちゅーこっちゃな。
マネ:ますます意味がわからん。
この配当金っていう勘定科目、資産か負債っていうこと?
ひで:それもまた違う。
配当金の支払いは資本取引
ひで:答えは、配当金の支払いは、資本取引やねん。
ほんで、資本取引っていうのは、
純資産を直接増減させるような取引の事を言う。
まず、この図を見てもらおうか。
複式簿記の基本構造なんやけど、収益と費用の差額が(当期)利益で、
それが貸借対照表の右下部分に蓄積されていくっていうイメージな。
で、配当金っていうのは、この出来上がった貸借対象上の右下、
純資産のところから直接出ていくねん。
多くの場合は、利益剰余金やねんけどな。
ということは、さっき
配当金 | 2,300,000円 | 普通預金 | 2,300,000円 |
っていう仕訳あったけど、これをもっとわかりやすく書くと、
利益剰余金 |
2,300,000円 | 普通預金 | 2,300,000円 |
こうなる。
マネ:ほうほう。
なんか、借入金の返済みたいな感じやな。
ひで:それは良い見方やな。
貸借対照表に入ってきた当期利益と、前期までの利益剰余金の合計から、
配当金っていう形で借入金を返済したみたいな感じ。
マネ:なるほどー。
ひで:簿記ではこの損益取引と資本取引をきっちり分けなさいよっていうルールがあんねん。
言い換えると、利益を生むための事業活動と、
産み出された利益を使う活動を分けろってことな。
純資産を直接増減させる取引が資本取引
ひで:ちなみに資本取引っていうのは、配当金の支払いだけじゃないねん。
マネ:他にどんなんがあんの?
ひで:純資産が増減する取引は全部そう。
例えば増資してお金が入ってきた時は資本金が増えるやろ?
ほんなら、こうなる。
普通預金 | XXX円 | 資本金 | XXX円 |
あとはーそやなー、ストックオプションかな。
マネ:ストックオプションて何?
ひで:ストックオプションっていうのは、
会社が従業員とか役員に対して交付する”会社の株式を買う権利”のこと。
例えば、”1円で100株を買える権利”みたいな感じ。
この新株予約権を発行した時は、
借方費用で、貸方純資産っていう不思議な仕訳を切ることになる。
株式報酬費用 | XXX円 | 新株予約権 | XXX円 |
この仕訳をいくらで計上するかっていうのは、
めっちゃ専門的になるから説明せんけど、
まぁこんなんもあるよって言う程度で。
マネ:とにかく、今日は、
純資産を直接増減させる取引があるよってことだけ覚えといたらええかの?
ひで:そっすな。
(次回へ続く)
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