損益分岐点分析の基本 - ゼロからの経営分析入門(その2)

会計
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変動費と固定費を分けた後は

昨日は費用を管理する上で、まず費用全体を変動費と固定費に分けて考えましょうということ、
そして、固定費はその総額を減らすべきこと、
変動費は売上1単位当たりの費用を減らすべきことをご説明しました。
(変動費と固定費を分けて考えることを”固変分解”と言います。)

本日はそこから少し進んで、固変分解を実施した上で、
自分の会社が損益的にどういうところに位置しているのかをご説明します。

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3つの道

昨日の説明の通り、付加価値を増やすには、以下の3つの道があります。

変動費と固定費を分けてみる - ゼロからの経営分析入門(その1)
費用は変動費と固定費にわけて管理しましょう。
  1. 固定費を圧縮する
  2. 1単位当たりの変動費を削減する
  3. 売上数量×売上単価を増やす

これら全部を同時にびゃびゃびゃっとできれば一番いいんですが、
おそらくそういうわけにはいかないでしょう。

どこから手を付けるのが一番いいのか、どれくらい頑張る余地があるのかを
先に見通しておきたいというところだと思います。

ここで役に立つのが固変分解からの損益分岐点分析です。

損益分岐点とは

損益分岐点とは、現状の売上単価、売上数量、変動費、固定費から導かれる、
損失計上と利益計上の境目のことです。

まずおさらいです。
左が固定費のグラフです。どれだけ売上数量が増えても一定額が発生します。
一方右が変動費のグラフで、売上数量に比例して増加します。

この2つのグラフを組み合わせると以下のようになります。
これが変動費と固定費を合わせた総費用線です。

一方、売上を表すグラフは以下のようになります。

ここで、利益は「売上-費用」で表せますので、
総費用と売上のグラフも合わせてしまいましょう。そうすると以下のようになります。

このグラフから何が読み取れるかというと、売上数量が増えるにしたがって、
赤字幅がだんだんと小さくなっていき、ある数量(X個)を境に黒字になるということです。
この損益がゼロになるX個の時のことを損益分岐点と言います。

損益分岐点分析から何がわかるか

損益分岐点分析からわかることは以下の通りです。

もし自社の立ち位置がX個よりも左の赤字ゾーンにあるとき、
見た目の営業利益(固定費も引いた後の最終的な利益)は赤字です。
しかし、営業損失が出ているからと言って、その事業を辞めるという選択は間違っています。
(売上数量がそれ以上伸びないことが明らかな時を除く)
なぜならそのまま売上数量を伸ばしていくことで、その事業はいつか黒字になるからです。

ただし、そこには重要な前提があります。

「1単位当たり売上-1単位当たり変動費がプラスであること」です。
言い換えると限界利益が多少でも発生しているということです。

ラーメンを例に例えると、ラーメン一杯が800円として、
麺とスープとチャーシューで900円もしかかっていたら、
一杯売るごとに100円のマイナスで即アウトです。
いくら数量を増やしても赤字が増えるばかりです。
この場合何が問題かというと、明らかに1単位当たりの変動費の高さです。

もしくはもう一つのパターンとして、 麺とスープとチャーシューは400円だけども、
ラーメン一杯が激安300円だとしたら、同じく一杯売るごとに100円のマイナスです。
この場合は一杯の値段が安すぎるのでしょう。

逆に言うと、一杯当たりで少しでも利益(限界利益ですよ)が出ているのであれば、
売上数量を増やせば増やすほど、黒字に近づいていくことになります。
もちろん一杯当たりの利益は大きければ大きいほど良いということは言うまでもありません。

もう一つ損益分岐点分析からわかることがあります。
それは固定費と限界利益のバランスです。

上で述べた通り、自社の事業が現時点で赤字ゾーンにあって、
売上数量を伸ばしていくことで、損益分岐点にだんだんと近づいていくということは
ご理解いただけたかと思うのですが、時に、
現状の売上数量と、損益分岐点数量がかけ離れているケースがあります。

固定費の大きさが問題になるのはそういうときです。
精一杯営業をかけて、売上数量は伸びている、
仕入単価もがんばって下げているのに、損益分岐点が遠い。
そんな時は改めて無駄な固定費が発生していないかという観点で費用の見直しを実施すべきです。

以上、損益分岐点分析の基本でした。

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