変動費と固定費を分けてみる - ゼロからの経営分析入門(その1)

会計
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費用は変動費と固定費にわけて管理しましょう。

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変動費と固定費の定義

先日は経営者さんにウォッチしておいてほしい最低限の指標として、
原田的付加価値(営業利益-人件費)(以下、単に付加価値)をご紹介しました。

売上至上主義のあなたに(総論)-経営者が知っておくべきこと-
数字と向き合うのも「経営」です。 モノ・サービスを売るだけが経営ではありません。
売上至上主義のあなたに(各論)-基本は営業利益です-
今日は具体的でシンプルな経営分析の手法をご紹介致します。

この付加価値をウォッチするのは、主に一定期間の事業の結論が出た後。
どういうことかというと、去年と今年、あるいは先月と当月を比べて
正しく付加価値が増えたかどうかという話です。

今回はそこから少し進んで、
じゃあ来年あるいは来月に付加価値を増やすにはどないしたらええんやという話で、
この変動費と固定費という概念をご紹介します。

利益は売上から費用を引いたものですが、費用には大きく分けて2つあり、
変動費と固定費と呼ばれます。(準固定費(準変動費)というものもありますが、
話がややこしくなるのでまたの機会にお話しします。ちなみに人件費も厳密には準固定費です。)

変動費とは、1単位の売上を上げるために必ず必要となる費用のことを言います。
例えば、ラーメン一杯を売るためにかかった費用のうち、
麺やスープ、チャーシューにかかったものは変動費です。
ラーメンが10杯売れれば、10杯分の麺とスープとチャーシューが必要ですし、
100杯になれば100杯分必要です。つまり売上と変動費は正比例の関係にあります。

一方固定費は、お店を営業している以上、 売上の多い少ないにかかわらず、
一定額かかってくる費用です。具体的には家賃や正社員の給料、減価償却費が挙げられます。
「固定費はボディブローのように効いてくるからできるだけ増やすな」というようなことが
よく言われますが、あれです。

変動費と固定費を分けて考える必要性

今年の付加価値は思っていたより少なかった、予算未達だ。
とか、前期よりも付加価値が減少してしまった。来期はどうすればいいの?
ということを考える時に、ざっくり付加価値の額だけを眺めていてもどうにもなりません。

結論からいいますと、付加価値を増やすためには、売上-変動費を増やすか、
固定費を減らすかのどちらかです。
ちなみに売上-変動費のことを「限界利益」といいます。
パッと頭に入りづらい用語かとは思いますが、文字数省略のために使わせていただきます

まずわかりやすい固定費の方から説明します。が、もはや説明の必要もないですね。
固定費は売上の多い少ないにかかわらず発生する費用です。
つまり、固定費は”売上を下げない範囲で”少なければ少ないほどOKです。
同じ立地なら家賃は安ければ安いほどいいですし、
使っていない機械があるなら売って現金化した方がマシです。
読んでいない定期購読紙があれば購読ストップすべきですし、
不要な(過度の)保険料なんかも見直すべきでしょう。

基本、「固定費は圧縮」です。

次に限界利益ですが、こちらは少し話が込み入ってきます。
まず売上は売上単価×売上数量に分解されます。
一方変動費は売上1単位当たりの費用(麺+スープ+チャーシュー1杯分)×売上数量です。
そうすると限界利益は転じて、売上数量×(売上単価-1単位当たり費用)となります。

すなわち、限界利益を増やすには
A. 売上数量×売上単価を増やす(営業の仕事。本稿では解説しません)
B. 1単位当たりの費用を下げる
のどちらかあるいは両方を達成する必要があります。

ここで、費用を変動費と固定費にわける理由が出てきます。

確かに、費用は少なければ少ないほど会計的には〇です。
そして、基本的に固定費は削れるだけ削ればいいと思います。

しかし変動費は売上数量と連動して動くのです。
つまり、変動費の減少には、売上数量の減少と、1単位当たりの費用削減の2パターンがあって、
前者のパターンの変動費減少に喜んでいてはいけないのです。

あくまで減らすべきは1単位当たりの費用削減です。
例えば、全く同じ質の麺・鶏がら・チャーシューを
現状より安く仕入れられる業者を見繕うといったことが挙げられます。

まとめると固定費は総額を下げろ、変動費は1単位当たりを下げろとなります。
これが費用を変動費と固定費に分けるべき理由です。
安直に費用全体を見て増えた減ったと言っても駄目ですよ。

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