資金管理のやり方の基本-第一歩は資金の最低ラインを知るところから-

ビジネス
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昨日は外部からの資金の余裕度、すなわち会社の安全性分析の方法と、目安についてお伝えしました。今日は話を内部からの目に切り替えて、資金管理の基本についてご説明します。

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資金の動きに影響を与えるのはこれだ

外部からの分析には限界があると昨日説明しました。それはなぜかというと、資金が一番少なくなるタイミングを測るのに必要な情報を、外部の人間は知りえないからです。

どういう情報が必要かというと、売掛金の回収サイト、買掛金の支払サイト、借入金の元本返済期日、利息の支払期日、給料の支払日、受取手形・支払手形の支払期日などです。それと、現時点で銀行がどれくらいお金を貸してくれるかというのも超重要情報です。

ちなみに、売掛金の回収サイトとは、売掛金が何ヶ月で入金されるかという情報で、通常得意先との間で、月末締め翌々月10日払いなどというふうに取り決められていることが多いです。反対に買掛金の支払サイトとは買掛金を何ヶ月で払わないといけないかを指します。

そしてこれらの入金日、入金額、支払日、支払額の関係で、企業が保持しておかなければならない資金の量が決まってきます。

一番会社内にお金があるのは、売掛金の回収が済んだあと、給料や仕入れの支払い、借入金の約定返済(予定通りの返済)までの間です。逆に会社内のお金がミニマムになるのは、給料や仕入れの支払い、借入金の返済を終えた後、売掛金の回収前です。

つまり、毎月毎月の企業の経済活動に極端な”ブレ”がない場合には、この毎月のサイクルにおけるすべての支払いをカバーできる資金があれば、ひとまず資金ショートすることはありません。

資金管理ケーススタディ

例えば、以下のような会社を考えてみましょう。条件は以下の通りです。

  • 現在は2019年4月1日
  • 毎月の商品仕入は800万円で、月末締めの翌月末払
  • 給料は月額300万円で、毎月25日の払い
  • 毎月の売上は1,200万円(その月に仕入れたものがすべて売れる)で、月末締めの翌々月20日払い
  • 商売を始めるにあたって、銀行からとりあえず仕入と給料2か月分である2,200万円を借入
  • 9月末と3月末に、借入金の返済がそれぞれ550万円(2年間の4回払い)

まず、この条件を損益に表してみましょう。1年だと長いので6か月間で説明します。

  • 売上=1,200万円×6ヶ月=7,200万円
  • 売上原価=800万円×6ヶ月=4,800万円
  • 給料=300万円×6ヶ月=1,800万円
  • 半年間の営業利益=7,200-4,800-1,800=+600万円

損益計算的にはとりあえず問題なさそうですね。

(借入金の返済は損益の計算には入ってきません。本日は詳しくは説明しませんが、とりあえず今日のところはそういうものだと思っておいてください。)

一方、1年間の資金の動きはどうなっているでしょうか。

グラフの動きを文章で書くと以下のようになります。

  • 4月1日  :借入調達2,200万円(残高:2,200万円)
  • 4月25日:給料300万円が出ていきます。(残高1,900万円)
  • 5月25日:給料300万円が出ていきます。(残高1,600万円)
  • 5月31日:仕入代金800万円が出ていきます(残高800万円)
  • 6月10日:売上代金1,200万円が入ってきます(残高2,000万円)
  • 6月25日:給料300万円が出ていきます。(残高1,700万円)
  • ・・・・
  • 9月30日:仕入代金800万円が出ていきます(残高1,200万円)
  • 9月30日:借入金550万円を返済します(残高650万円)

さあ、このグラフからこの会社の資金の最下点がわかりますね。借入金の第1回目返済がある9月30日の650万円です。

さて、この状況を見てどのように感じますか?

“上手く回っているな”と感じたなら、危険です。

もし、何らかの事情で1ヶ月分の売上の検収がひと月遅れたら?
例えば本来、5月売上1,200万円、6月売上1,200万円のところ、5月売上0円、6月売上2,400万円になってしまったらどうなるでしょう?商売的には、まあ1ヶ月ぐらいずれることもあるか、ぐらいの感じでしょうか。

しかし資金的には大問題です。

売掛金の回収は売り上げた月の翌々月の20日です。5月の売上が1ヶ月ずれて6月になるということは売上入金も1ヶ月ずれるということです。そうなると、本来7月20日であるはずの売掛金の回収が8月20日となってしまい、売掛金を回収する前に、給料と仕入の支払い合わせて1,100万円の期日が到来することになります。

ややこしいのでグラフにすると以下のようになります。

7月20日の売掛金回収1,200万円が8月20日にずれこんだために、7月31日の買掛金支払の時点で、資金が0を下回ってしまっています。この時点で別途資金を調達できなければゲームオーバーです。

グラフだけ見ると、8月20日以後またプラスに回復しているわけですが、資金管理においては、一度資金がマイナスとなったら終わりで、それ以降のグラフに意味はありません。

つまり、この会社の資金管理はぬるかった。ということになります。具体的に言えば、1ヶ月や2ヶ月の間売上が途切れたり、遅れたりしても、給料や仕入代金を支払えるだけの資金を用意しておかなければなりませんでした。

まとめ

資金は一度ショートしたら終わりです。ですから、まず自社の”通常の”経済活動で最低限必要な資金量を把握した上で、その上に余裕資金をいくらか見ておく必要があります。

企業の安全性というのは、企業が普段からどれくらいの資金を保持していて、どれくらいまでなら不測の資金流出に耐えられるかというどういうことに他なりません。

例えば、リーマンショックなどの市況の急激な変化に伴って、売上が一時的に激減するような場合や売掛金が約束通りに回収できない場合でも、給料や固定経費の支払いは続けなければいけませんから、余裕資金で対応することになります。

他にも、大型案件の売上金を超長期の受取手形で受け取ってしまったような場合にも、仕入にかかる支払いは通常通りの支払いサイトで払ってしまっていることから、受取手形が無事決済されるまでは、手持ちの余裕資金でやりくりしなければなりません。

資金管理は企業の存続に直結します。ですから、”余裕のある内に”自分の会社は売上0円(回収0円)に何ヶ月耐えられるのかを是非見ておいてほしいと思います。

 

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