減価償却費を費用収益対応の原則の面からわかりやすく解説してみた

会計
この記事は約3分で読めます。

当ブログでは今まで、資金と利益の関係や、キャッシュフローのこと、

赤字でも倒産しないことなどを記事にしてきましたが、

その都度”減価償却費”という言葉・概念が登場してきました。

今回は、この減価償却費とは何ものなのか、

どう理解すればいいのかを分かりやすく解説いたします。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

減価償却は適正な損益計算のため

減価償却とは、過去の支出を、将来にわたって繰り延べて機械的に費用化する手続を言います。

なぜそんなことをするかと言うと、適正な損益計算のためです。

適正な損益計算とは何か。

企業はその経営活動から生じた損益を適正に計算しなければなりません。

そして何をもって適正であるかということの重要な観点として”費用収益対応の原則”があります。

企業会計原則 第二 損益計算書原則 一C
費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に分類し、各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。
条文を読むと何のこっちゃという感じかもしれませんが、要するに、売上にふさわしい分だけ費用も計上しなさいよ、ということを示しています。

収益の分だけ費用も計上しましょうということ

この、費用収益対応の原則を理解するのに一番わかりやすいのは在庫ですね。

例えば、

年初に単価80円で100個の商品を仕入れ、1年間で単価100円で90個売れました。

この会社の損益はどのように計算されるでしょうか。

売上は100円×90個で9,000円ですね。

では売上原価はというと、80円×100個=8,000円でしょうか?

違いますよね。80円×90個=7,200円が原価で、残りの80円×10個=800円は在庫として残りますね。

売れた90個分だけ費用側も損益計算に含めてくださいね、ということです。

減価償却は過去の支出を将来へばらまくこと

で、減価償却費の話に戻りますが、基本的には在庫と同じような考え方をします。

つまり、売上が上がった分だけ費用を計上しましょうということです。

具体例で説明します。

期首に1,000万円の機械装置を購入したとし、この機械は5年間使えるとします。

で、この機械を使って、生産・販売活動を行います。

1年目の売上は700万円でした。2年目の売上は600万円でした。

では1年目と2年目の損益計算をしてみましょう。

1年目:700万円-1,000万円=300万円の赤字
2年目:600万円-0万円=600万円の黒字

これでいいでしょうか。

駄目ですね。これはキャッシュベースの考え方です。売上と費用が全然対応していません。

正解は、1年間の費用は1,000万円÷5年=200万円となります。

なので、

1年目:700万円-200万円=500万円の黒字
2年目:600万円-200万円=400万円の黒字

となります。

この手続きを踏むことで、この機械から発生した売上と費用とを対応させることができるようになります。

減価償却の場合はあくまで機械的に計算しますよ

ただし、ここで在庫の場合と違って注意しないといけないことがあります。

それは、厳密に売上の金額と対応させるのではないということです。

言い換えると、売上の金額に関係なく、購入金額を使用期間(耐用年数)で単純に割り振ります。
(定額法・定率法という計算方法の違いはあるのですが、細かい話なのでとばします。)

なぜなら、その機械を購入した時に将来の厳密な売上高なんぞわからないからです。

なので、減価償却は、費用収益対応の原則といいつつ、実際にやっていることは費用の機械的な将来へのばらまきです。

この概念がわかっていないと、損益計算書を作る時も、「なぜ払ってもいない200万円が費用に乗っかってくるんだ(〃`・н・´〃)プンスカ」、となりかねませんので、よく理解しておきましょう。

以上、超入門 減価償却費の解説でした。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
京都市の税理士・公認会計士事務所 原田会計のご紹介
10年を超える監査の経験で培った会社の経営分析能力を活かし、親しみやすい人柄で経営者さんの悩みを総合バックアップします!
売上が伸びない、利益が残らない、税金のことで相談したい、内部管理体制をしっかりしたい、資金管理が心配、といった悩みをお持ちの経営者さんは是非一度、原田会計までご相談ください。
詳しいプロフィールやサービス内容、お問い合わせはHPへお越しください。
会計
ストレスフリーで生きていく

コメント

タイトルとURLをコピーしました