【第10話】旅費交通費は渡し切りがおすすめ

猫と学ぶ経営管理
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こんにちは原田です。

猫と学ぶ経営管理の第10話をお届けします。

今回は出張の際の旅費交通費のお話です。

社員が業務のために出張を行った場合において、

その出張に要したと認められる金額を支給する方法には、

実費精算と渡し切りの二通りがありますが、

私は断然渡し切りをお勧めします。

 

原田会計の招きネコ、マネ

原田会計代表、公認会計士の原田(以下ひで)


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経費は領収書が必須?いえ、違います。

マネ:なぁ、所長この旅費交通費見てみてー。

ひで:ん?どうしたん?

マネ:このクライアントの社員さんの出張宿泊費なんやけどな、

ホテルの領収書がついてへんねん。

これって経費(損金)にならへんやんなぁ?

ひで:あー、この会社は旅費渡し切りやから領収書あらへんで。

マネ:ん?渡し切りって何?

ひで:渡し切りっていうのは、

実際にかかった費用とは関係なく、

実際にかかったと見込まれる費用相当額を”定額で”社員に支給する仕組み。

例えば、役無し社員が京都から東京に出張してホテルで一泊っていう場合に、

新幹線指定席往復13,910円×2=27,820円と、

東京でのビジネスホテル代10,000円を、

その社員が実際にどんな手段で東京に行ったか、

どんなホテルに泊まったかっていうこととは無関係に、

無条件で合計37,820円を支給するみたいな。

マネ:へー、そんなことが認められてんのか。

なんか、税金計算ってもっとこう、

何ていうか厳密なもんかと思ってた。

ひで:うん、まぁ誤解されがちなところではあるんやけど、

実は法人税法の条文には、経費(損金)として認められるためには、

“領収書を保管しておかなければならない”なーんてどこにも書いてへんのよな。

マネ:え?うっそ!?そうやったん!?

ひで:誤解したらあかんで。

じゃあ領収書なんかもらったり保管したりせんでええわっていうんとちゃうで。

経費(損金)っていうのは平たく言うと、

業務に通常必要と認められる分だけ認めてあげる、っていう仕組みやねん。

ほんで、領収書っていうのは、”○○に××円使った”っていうのが、

手っ取り早く証明できるやろ?一番確実やん。

せやから、”業務に通常必要やったんやで!”っていうことを、

証明するためによく使われるだけの話なんやわ。

一方で、京都から東京までの移動手段+宿泊費で言うと、

新幹線とビジネスホテルを使うのがまぁ一般的には妥当やん?

飛行機使うのは高くつく可能性あるし、逆に時間がかかることもある。

高速バスなんかは安いけど仕事で使うには時間がかかりすぎる。

ホテルはビジネスホテルのシングルで十分。

旅館でご馳走食べるのは業務とは無関係。

ちゅーわけで、業務で京都-東京間を1泊して往復したんであれば、

「普通は新幹線の指定席を使って、

ビジネスホテルを使ったとみるのが妥当やろうから、

かかった経費は新幹線代13,910円×2と、

東京のホテル代10,000円ぐらいでまぁええんとちゃう?」

っていうのが法人税を計算する上での扱いやねん。

他にも、香典なんか領収書でーへんやん?

せやけど、会社の名前で出した香典は”当然に”経費(損金)として認められるからな。

ひで:あー、なるほど、香典と同じか。

実費精算と渡し切りはどっちがお得?

マネ:渡し切りの仕組みは理解した。

で、会社によってはこの出張旅費を渡し切りでやってるところと、

実費精算でやってるところと2種類あると思うんやけど、

どういう風に使い分けるん?

ひで:経営者側とか管理部門からすると、実費精算は面倒臭い。

ただし、経費を節約したいっていう理由で実費精算にしてるケースもある。

マネ:実費精算にすると経費の節約になるん?

ひで:ぱっと見はな。

マネ:ぱっと見は、っていうことは、実は経費節約にならんってこと?

ひで:うちが仮にクライアントから「実費精算と渡し切りどっちがいいですかね?」って

質問されたとしたら、断然渡し切りって答える。

マネ:その心は?

ひで:理由は3つある。

渡し切りを勧める3つの理由

1つはさっき言うた面倒臭いっていうこと。

実費精算ってその手続を見てみたら誰もが面倒臭い。

社員はいちいち領収書もらって、経費精算書に添付して提出して、

管理部門はそれをチェック、一回一回金額を入力して、って。

渡し切りやったら、出張行ったことが分かった時点で、

金額が確定するからめっちゃ楽。

2つ目は、大して経費節約にならんっていうこと。

1つ目の面倒臭いの派生ではあるんやけど、

面倒臭いっていうことはそんだけ時間がかかるっていうことやろ?

チェックにかかる時間とか、証憑の添付とか。

それで節約できる金額が数百円とかやったりするわけやんか?

それって節約になってんの?って感じ。

領収書を添付したりチェックしたりっていう時間で、

節約できたはずの数百円吹っ飛んでない?

と、おれは思うんやわ。

マネ:確かに。間違いも発生するやろうしな。

ひで:そんで3つ目。これがおれの思う最大の理由。

それは、社員のモチベーションが下がること。

社員にとって出張って基本的にだるいやん?

パッキングしたりとか慣れへん環境で寝たりやとか。

そんな中、宿泊費が10,000円の渡し切りやったら

安めの7,000円のホテルに泊まって、

浮いた3千円でちょっとええもん食べよか、

みたいな、ちょっとした裁量が社員に生まれるやん。

業務上の”遊び”っていうかな。ハンドルの遊びやないけど。

そういうのって社員のモチベーションにとって、

地味やけど結構大事やと思うんやけどなー。

寝るところが大事やとか、

新幹線の席は自由席で良いとか、

極端な話高速バスでも全く問題ないとか、

そんなん社員にとって価値観バラバラやんか。

そういう価値観のバラバラをちょっとでも認めてあげることで、

業務上のモチベーションが上がるんやったら、

こんな経営上効率の良いことはないと思うねん。

たった数百円やで?

マネ:ははは、面白い考え方やな。

ひで:いやいや、モチベーションの維持は馬鹿にできひんで?

しかも経営者が意図的に上げようと思ってもそう簡単にいかん部分やしな。

せやから、おれはどっちにするかって聞かれたら渡し切り一択。

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