売価の決まり方1 - ゼロからの経営分析入門(その5)

会計
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販売価格は売り手が決めるのではありません。

利益計画を策定するにあたっては、目標となる販売価格、目標となる販売数量、
目標となる原価(変動費)、そして目標となる固定費を設定しますが、
事業者側ではどうにもならない部分も混じっています。

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利益計画の立て方

Aさんは個人事業主としてラーメン屋(またかよ)を経営しています。
開業初年度はさっぱり利益が出なかったので、
開業2年目となる来年はきっちりと利益計画を立てることにしました。

まず1年目の平均的な月当たり損益は以下の通りです。

人件費を除いた営業利益が10万円ですので、Aさんの収入=10万円です。生きていけません。

そこでAさんは2年目の利益計画を以下の通り立案しました。

利益計画の策定方針と1年目との違いは以下の通りです。

  • 生きていくために目標営業利益は月40万円とした。
  • 固定費は1年目50万円だったところ、ほとんど利用されなかった駐車場を2台分6万円を解約し、44万円とした。
  • 変動費となるラーメンの材料原価は、より美味しいラーメンを作るために材料をグレードアップし、300円→420円となる。
  • 販売数量:1年目と同等の来客数を見込んでいる。
  • ラーメンの価格は目標限界利益84万円を達成するために980円とする。

逆算で利益計画を作ることの問題点

Aさんが策定した利益計画にはどのような問題があるでしょうか。

  • 生きるために月40万円が必要なのは現実として受け止めるとします。
  • 固定費について、使っていない駐車場代6万円は明らかに無駄なので解約することに問題はありません。
  • 変動費も、より美味しいラーメンを作るためですので、120円(40%)UPは仕方がありません。

ここまではひとまずよしとして考えてよいのではないでしょうか。
しかし、果たして980円(40%UP)の値段で1,500杯の売上を維持できるでしょうか。

Aさんはこう考えています。
材料に良い物をつかって原価がアップしているのだから、販売価格の上昇は仕方ない。
1年目の変動費率は300/700=43%、2年目の変動費率も420/980=43%で変わりないから問題ない。

本当にそうでしょうか。

300円のものが700円で売れたからと言って、420円のものが980円で売れるでしょうか。
Aさんは目標利益を達成するために980円で「売りたい」だけではないでしょうか。

販売価格は誰が決めるのか

ここで問題になるのは販売価格の妥当性です。

Aさんは必要となる費用と利益から逆算して販売価格を決めました。
しかしこれは完全にAさんの”皮算用”です。

店側がどれだけ、変動費率は変わっていないじゃないかといったところで、
客側はそんなこと知ったこっちゃありません。

もちろんAさんの目論見が必ず外れるとは言いません。
もしかしたら予定通り980円で1,500杯を売り上げるかもしれません。

しかし、販売価格を決めるのは客(市場)です。決して店側ではないのです。
いくら店側が980円で売りたいと願っても、その価格が妥当かどうかをジャッジするのは客です。

すなわち、利益計画を策定するにあたっては、逆算で販売価格を設定するのではなく、
販売価格は”所与”のものとして扱わなければならないのです。

以上、販売価格は客(市場)が決めるというお話でした。

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コメント

  1. 若杉由紀子 より:

       私も先生の御意見、もっともだ、と思います。サラリーマンの昼食のラーメンが980円は高いと思います。もっと味方に。場所や時間帯などにも影響受けると思いますが。出来るだけ広く一般的な庶民の単純な味がいいな   美味しい!!

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